研究員によるフォトブログ

No.241 クスさん

2016年05月17日

宇野 浩史
イノシシ痕跡調査の道中、美しい網目状の繭を見つけた。
調べると、クスサンという蛾のものであるそうだ。クスサンは、漢字で樟蚕と書き、その名の通りクスノキなどを好んで食す、ヤママユガ科の一種だ。幼虫はシラガタロウと呼ばれ、クスノキだけでなくクリやクルミ、トチなどに食害を与える害虫として扱われる一方、誰が思いついたのか、その繭糸腺はテグスとして利用されることもあったそうだ。
「クスサン」、「シラガタロウ」という、害虫にしては何となく愛嬌を感じてしまう名称も、現在の主流であるナイロン製の釣糸がまだ手に入りにくかった時代、怯みながらも幼虫を解体し、釣果を上げた者達からの親しみを込めた名前だったのではないかと思われてならない。
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