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No.117 森林・林業再生プラン ~これからの林業界に改革は起きるか~

2013年01月発行
森林・林業再生プラン ~これからの林業界に改革は起きるか~
 
湯浅 卓(WMO)


<はじめに>
 森林・林業再生プラン(以下、再生プランと呼ぶ)という言葉を耳にしたことはあるだろうか?ここ数年、時折耳にするようになったが、その内容は「林業を再活性化させる計画が作成されたらしい」とか、「木材自給率50%を目指すらしい」とか、「これから日本各地で大規模な森林伐採が始まるらしい」や、「森林伐採によってさらにシカが増えるんじゃないか?」といったものであり、全容は知らぬまま漠然とした不安を感じるものであった。
また、「伐れば赤字と言われている現状の中で公共事業として森林伐採を進めるのだろうか?」、「特に国産材の需要が高まっているという話しも無いなかで木材生産を促進して林業が活性化するのだろうか?」といった素朴な疑問も生じた。
確かに、戦後の拡大造林期から50年以上が経過し、山には利用できそうな木がたくさんある状態となっており、利用しないのはもったいないなと思う。さらに、豊富な木材資源があるにもかかわらず海外から木材を輸入して利用している状況は不可解である。よって、林業を活性化させようという計画が持ち上がるのは理解できない話しではない。
しかし、国産材の利用をうたった公共施設などで見かける間伐材を利用したベンチや看板、車止めや、山の中で見かける林道法面や、砂防堰堤の外壁に貼り付けられた間伐材利用からは、無理やり利用している感が否めない。また近年、公共事業によって各地で間伐が進められているが、伐り捨て間伐によって山の斜面に伐倒木が縦横無尽に横たわり、調査で山を歩く際に障害となることも多い。
こうした状況の中で、どのように林業を活性化させるというのだろうか?どのような計画が作成されたのだろうか?そこで、今回は森林・林業再生プランから日本の林業事情などについて調べてみることにした。
<森林・林業再生プランの意義は?>
民主党政権時代の2009年の12月に農林水産省より発表され、1.森林の有する多面的機能の持続的発揮、2.林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生、3.木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献の3つの基本理念の下、木材などの森林資源を最大限活用し、雇用・環境にも貢献するよう、日本の社会構造をコンクリート社会から木の社会へ転換することを目的としている。
また、2010年6月に発表された「新成長戦略」では、政府が重点的に取り組むべき21の国家戦略プロジェクトの一つとして「再生プラン」は位置付けられ、技術や経営やシステムを図ることで大きな成長が期待されている。「再生プラン」は、ただ林業を振興するための政策にとどまらず、先進国家としての日本の再生の鍵として位置付けられているのである。このように森林政策が日本の将来ビジョンの骨格として位置付けられ、地域経済再生の鍵と見なされることは画期的なことであるが、なにゆえ林業にそれだけの期待が寄せられるのであろうか?
 
<木材産業クラスター>
 木材関連産業は、原料である丸太を供給するための林業に始まり、木材を加工する製材や製紙などの一時加工、木材を利用する家具や住宅などの二次加工などの伝統的な利用に加え、エネルギー価格の高騰やCO2排出の抑制のためバイオマスエネルギー(薪・木材チップ・木質ペレット)の利用も注目を集めている。また、この産業は、製材用機械やペレット製造機械のメーカーや、木材加工技術開発、デザイン、製品開発、技術者の育成など水平方向に広がる多様な産業によっても支えられており、木の利用を軸に階層的な産業の集積(クラスター)を形成している。こうした構造ゆえに、林業を基盤とする産業の活性化は、雇用の創出という面でも期待が寄せられる。したがって、「再生プラン」による林業の活性化は地域経済の再生の鍵であり、森林・林業問題の解決と新たな維持にいかに応えていくかという課題から、国内の地域間格差や中山間地問題をいかに解決するかという課題、グローバル段階の先進国家日本のこれからの成長・安定をいかにもたらすかという課題にも応えることが期待される。
実際に、先進国のひとつドイツでは、木材関連産業の雇用は約100万人と電気・電子産業の80万人、自動車産業の77万人をも上回る最大の産業となっており、19兆円規模の売り上げを出す主要産業の一つとなっている。ちなみに、日本の2010年度の売り上げ第1位が自動車産業の55兆円、第2位が建設業の42兆円、第3位が生命保険の37兆円、第4位が不動産業の36兆円、第5位が外食産業で約23兆円、第6位が銀行の15兆円といった並びになり、林産物の売り上げは4,200億円である。これらと比較するとドイツの木材関連産業の規模の大きさが良くわかる。
<ヨーロッパと日本の林業の違い>
 ドイツで木材生産を行っている森林面積は1057万haで、日本の人工林面積1040万haに匹敵する(写真1)。ところが、生産される丸太は6000m3と日本の人工林から生産される木材の4倍以上である(直径60cm×長さ3mの丸太で材積が約1 m3)。ドイツでは生産された丸太のほとんどは自国内で加工・消費されている。ヨーロッパでは、ドイツに限らずスウェーデン、フィンランド、オーストリアなど多くの国で林業が盛んである。しかし、いずれも先進国であることから、作業者の人件費は日本より安いわけではない。また、ドイツ南部やオーストリアなどは急峻なアルプス林業地帯を抱え、森林所有者も小規模が多いなど、林業を取り巻く環境は日本とあまり変わらない。
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 平成22年版の森林・林業白書によると、ドイツでは製材用丸太価格は、トウヒで13,000円/m3、マツで9,400円/m3に対し、日本ではスギで10,900円/m3、ヒノキで21,300円/m3、マツで13,200円/m3とドイツと同等あるいは高い価格がつく。オーストリアでは、トウヒの製材用丸太価格が11,000円/m3、スウェーデンでもトウヒが7,000円/m3、マツが7,800円/m3である。これらの国々と比較しても日本の製材用丸太価格が劣っているわけではない。
それにもかかわらず、木材生産にかかるコストは日本が主伐で約6,300円/m3、間伐で約9,300円/m3であるのに対し、ドイツでは2,200~5,000円/m3、オーストリアでは2,400~5,000円/m3、スウェーデンでは主伐で約1,300円/m3、間伐で2,400円/m3と推定されている。製材用丸太の価格にほとんど差が出ない以上、生産コストが上がることは収益の減少を意味する。日本では粗収入がスギの主伐で約4,500円/m3、間伐では約1,500円/m3にすぎず、収益が少なければ産業として成り立つことは難しい。ヨーロッパではどのように生産コストを抑えているのだろうか?
 まず挙げられるのが、林道の路網密度の違いである。ヨーロッパでは木材価格が比較的高かった1960年代から路網整備に重点的に投資が行われてきたため、日本の倍以上の密度で林道網が整備されている。ただし、整備された林道は、日本のようなアスファルトやコンクリートで固め、地形をあまり考慮せず山を切り崩しながら出来るだけ直線的に敷かれたものではない。ドイツではEUや連邦政府、州政府が支援する林道は、林地を削り、土砂を入れて固めた土の林道に限られるそうである。また、林道は地域の森林全体を合理的に管理することを前提に、木材を搬出する際の効率性・安全性、植生の回復、将来の斜面崩壊のリスク回避を優先に森林官が設計している。
 こうして整備された林道網に林業専用に開発されたコンピューター制御の高性能林業機械を入れ、伐採・玉伐りしながら自動的に材の直径・長さ、さばいた本数が操縦席のパソコンにデータとして入力されデータベースに蓄積されていくことで、生産性や作業効率、作業員の安全性を大幅に向上させている。ヨーロッパで活躍している高性能林業機械のハーベスター(伐採・造材を行う機械)やフォワーダー(丸太を運搬する機械)は小松製作所製であるが、皮肉にも利用環境が整っていないため、日本ではほとんど導入されていないそうである。
 伐採された原木の樹種・等級・形質・材積などの情報がIT技術によってデータベース化されることで、木材を購入する製材・製紙パルプ会社や木材輸出会社と木材生産者とがインターネットを経由して直接取引をすることで中間マージンの発生を抑え、販売価格を抑えている。このようにヨーロッパでは、林業を機械化、合理化、効率化という経営努力によって採算が取れる産業にしているのである。
これに対して日本では、伐採作業の機械化は遅れ、流通システムも昭和30年代からほぼ変わらず、生産者はとりあえず原木市場へ丸太を運搬し、そこでセリにかけられた後に製材工場へ運搬していくため、輸送コストがかさむ。そればかりか、セリで価格を決めるシステムの場合、需要者側の意向で価格が決まるため生産者側にとって不利となる上、大量に調達しようとすると価格が跳ね上がるため、製材所が大量にさばくことで価格を下げることも難しい状況である。
 ヨーロッパの林業国では、一定の品質の木材を安定的に供給する持続可能な森林経営ができていることも林業が盛んな要因となっている。持続可能な森林経営とは、次世代に負担をかけることなく森林資源を利用し、かつ森林の生産力を維持していくことである。森林の生産力を維持するためには、成長量の6~8割を安定的に伐採することが望ましいとされる。成長量に対する伐採量の割合を比較すると、ドイツ61%、スウェーデン89%、オーストリア87%に対し、日本は25%と推定されている。この値は国産材に対する需要が低いことの現われであるとも理解できるが、日本が木材を安定供給できていないことは明らかである。国土の約70%を森林が占める日本においてこうした状況は異常だと思う。こうした状況を生み出した根源は何だったのだろうか?
<日本林業の衰退の要因>
日本では賃金水準が高い上、地形が急峻なこと、森林の所有規模が小さく分散的なことから、林業のコストがどうしても割高になるため、安い外材にはかなわないと当たり前のように信じられているのではないだろうか?そして、森林の公益的機能を重視し、税金を投入し公共事業として森林整備を続けて行かなければならないと。そのためには、森林税や環境税、水源税の導入もやむなしと。しかし、平成23年12月の米ツガ丸太の価格は24,400円/m3に対し、国産のスギ丸太の価格は12,600円/m3と外材との価格差は完全に逆転している。それにもかかわらず国産材が利用されないのが実態である。
戦後の復興期には6000万m3もの木材を生産し、木材自給率は90%を超えていた。ところが、当時の日本の森林蓄積は20億m3に過ぎず、そうした中で年間6000万m3もの木材生産を行うことは、30年余りで全森林を皆伐してしまうほどの過伐状態だったことを意味する。木材の需要が高まり資源が枯渇し始めると、当然ながら材価は高騰する。外材の輸入は高騰した国産材の価格を安定させるため、1960年に段階的な自由化をスタートし、1964年には完全自由化を達成した。これに伴い、大量に安定供給できる外材が市場を席巻し国産材の供給量は下降の一途をたどったが、外材はむしろ国産材の供給能力の減少を補ったのである。日本林業の衰退の要因の一つは、過剰な森林伐採による資源の枯渇である。
林業が衰退したもう一つの理由は、戦後まもなくの林業が、材価の高騰と安い賃金コストのおかげで高い収益性を確保できるという、きわめて特異で恵まれた状態にあったことである。伐れば伐るほど儲かる時代が続いた。こうした状況は、人力主体の伐採でも、マーケティングや土場での仕分け作業が不要な原木市場による流通でも、十分に採算が取れた。また人力での伐採作業であれば林業機械を駆使する技術がなく、路網が未整備でも何とかなったことから、地元の人を雇用して対応できた。
しかし、拡大造林政策によって造成されたばかりの森林が多くなり、下刈りや蔓きり、伐り捨て間伐など労働がきつくなる一方、材価は下落し、木材製品から石油化学製品への生活様式の変化が相まって、山村の過疎化、林業の衰退が加速した。そして、民間では林業は成立しないとして、税金で支える公共事業型の林業が固定化されてしまった結果、産業として林業を成り立たせるという考えも意思も希薄となり、生産性や採算性を高め、現代林業を成立させるためのシステムを構築する機会を逸してしまった。そのため、現在の日本の林業は生産管理とは無縁で、雇用形態や人事管理面も戦後すぐの時代からほとんど変わらず、ヨーロッパ諸国の状況に比べ50年近い遅れを取る結果となってしまったのである。
 その結果、マーケットは外材に席巻され、かつて山間部に立地していた木材産業は工業地帯である港湾部へとシフトし、地域のどこにでもあった製材工場や工務店、家具店などの木材産業集積は崩壊、国産材製材の多くは小規模零細で、品質管理も満足にできず、競争力を喪失した。
しかし、拡大造林から50年の年月がたち、日本の林業は木を育てる一方で売り上げが立たない保育の時代から、木材を間伐によって利用する新たな時代を迎えている。路網を整備し間伐をすれば、次回以降の間伐の時には、木が太り、その路網を利用できるので、安定した木材生産が可能になる。まさに持続可能な林業を再生させる好機を迎えているといえよう。
<再生プランによる改革のポイント>
こうした状況の下、木材生産と木材産業が活発で、効率的な木材生産と森林の多面的機能をより高い次元で融合させるまでに森林管理の理論・技術を高度化させたヨーロッパの林業を参考に作成されたのが「森林・林業再生プラン」である。
 「再生プラン」による改革の主なポイントは以下の5点である。
 
*その1* 市町村森林整備計画のマスタープラン化
従来は、政府が策定する森林・林業基本計画に基づき、農林水産大臣が全国森林計画を策定、これに基づき都道府県知事が地域森林計画を、森林管理局長が国有林の地域別森林計画を作成し、市町村が市町村森林整備計画を、森林所有者が森林経営計画を作成するというトップダウン式に計画を作成していた。
一方、「再生プラン」では市町村森林整備計画がマスタープランとなり、都道府県や国有林の計画をボトムアップで作成するというように変更され、地域住民がその地域の森林資源の保全と利用に責任を持ち、循環型の社会資本として管理することが求められる。
また、森林のゾーニングに関する権限も市町村に委譲され、森林施業にかかわる基準、路網整備、機械化促進の方針なども市町村が作成することになる。すなわち、地域内の民有林全体の管理・経営に市町村が全面的な責任を持つことになる。
*その2* 森林経営計画制度の創設
森林経営計画により、小規模で分散的に所有されている私有林でも面的にまとめ大規模な森林経営が可能となる。この計画制度は、森林の現況を把握し、5年間の木材生産計画、森林整備計画、路網整備計画のほか、将来を見通した管理経営方針や施業履歴、自然環境に対する配慮、経営の規模拡大目標、施業の共同化の進め方についてもまとめ、地元市町村の認定を得る仕組みである。これにより森林所有者や林業事業体は、投資と収益の見通しがつき、仕事量や雇用の予定を立てやすくなる。
また、森林管理・環境保全直接支払制度による国からの補助金も森林経営計画を策定していることが条件となる。また、国からの補助を得るためには施業を集約化し、伐り捨て間伐から利用間伐への転換が条件となる。これらは、森林は適切な手入れや木材生産活動を行って、その機能を多様に発揮すべき公益物という考え方が強調されたことを意味し、従来のように個人財産だから手入れをせず放っておいても問題にならないという考え方が通用しなくなることを示している。将来的には、国も森林経営計画を単位に森林政策を講じていく方針である。
*その3* 路網・作業システムの高度化
 路網を成熟した森林資源を持続的に利用するための基盤と位置づけ、地域の森林全体を管理・経営するための路線計画と路網密度を設定する。さらに、林業だけでなく、自然保護や地域の生活のあり方にも配慮を求めることになる。また、高性能林業機械の導入・普及と、そのための路網体系の理論と技術を整理・普及によって、作業の効率化と低コスト化を目指す。
*その4* 日本型フォレスター制度の創設(人材育成)
 市町村森林整備計画をマスタープラン化したり、森林経営計画を作成するにも、新たな路網整備計画を作成したり、高性能林業機械を運用するにも高度に専門的な知識や技術・経営力を持った人材を体系的に育成することが必須条件となる。2011年度からは都道府県と国有林の職員を中心に、2012年度からは民間人も対象に人材育成の研修制度(准フォレスター研修)が始まっている。
*その5* 森林組合の抜本的改革
 森林所有者に代わる経営の担い手として発足した森林組合であるが、今では主に国有林や県有林、市町村有林の公共事業の受け皿となってしまい、森林所有者のための組織という本来の機能を果たしている森林組合は少ない。そのため、組合員のための業務を優先するよう改革を図る。
<おわりに>
 私は10数年前、大学で一応林学を学んだ身である。しかし、日本の林業が現在のように衰退した要因について、これまで十分に理解していなかった。必ずしも講義もまじめに受講していたとは言えないが、こうした話を講義で聞いた覚えがなかった。同期の友人達を見回しても、林業関係の職についた者といえば、せいぜい林業職の公務員で、林業の事業体に職を求めるものは皆無であった。世間一般でも木を伐ることは何となく悪であると見なされ、林業というのも環境破壊に貢献する前時代的な産業のような印象があるのではないだろうか?そうした印象のためかどうかは定かでないが、大学の林学科も森林科学科に、日本林学会も日本森林学会へと名称を変え、「林業」や「林学」という言葉が消えつつある。
しかし、森林・林業再生プランが作成された背景について知ることで、林業の再生には大きな可能性が秘められていることを理解した。森林資源を商品化するためには、伐採・搬出・木材マーケティングなどの森づくりから木材生産のプロセス全体にわたる高度なマネジメント、専門知識・経験や技術が要求される。そのため、これを支えるソフト、ハードの人材養成や、森林所有者に対するコンサルティング、林業関係者相互の連携を図るシステムなど、高度に発達した社会システムが必要となる。よって、今では世界の木材生産や製材などの木材加工の3分の2は先進国においてであり、林業は先進国型産業である。
木材は重くてかさばるわりに単価が安く、生産原価に占める輸送経費の比率が特に高いという特徴を持つ。このため、丸太を動かす回数が多くなればなるほど、運ぶ距離が遠くなればなるほどコストがかかることから、世界の木材産業は資源立地が原則であり、丸太は基本的に国内消費がほとんどである。
また、木材は製材品にしても物流経費の比率が高いという商品特性に変わりはなく、需要地に近ければ近いほど競争優位性を発揮できる。この点、足元に大きな需要が存在する先進国であれば、立地優位性は更に高まる。森林資源が豊富な先進国であれば、丸太の工場への輸送コストのみならず、木材加工品の需要地への輸送コストも低く抑えられることになり、林業・木材産業は自ずと地産地消が成立することになる。
「再生プラン」では、現在20%の木材自給率を50%(4000万~5000万m3)まで引き上げることを目標にしている。この目標は、日本の森林を持続可能な形で利用する林業および木材関連産業が健全な形で回れば、無理なく達成できる目標だと考えられている。木を原材料とする製品は、我々の生活には不可欠なものである。我々が木を積極的に利用し、木材関連産業が活性化することは、大量生産大量消費によって支えられる社会からわずかかではあるが脱却できるように思える。林業・木材関連産業は地域に立地する内需型産業であるうえ、環境への貢献度が高いこと、木材の利用が人々の幸せに直結する産業となりうることなど、まさにこれからの時代を象徴する産業と言えよう。「再生プラン」の実践事業は、まだ全国5箇所のモデル地域で始まったばかりであるが、将来、全国的な活動へと定着することを期待したい。そして、野生動物の保護管理にかかわる我々も木材関連産業のクラスターの一翼を担っていたいと思う。
<参考文献>
・「森林・林業再生プラン」を読み解く
岡田 秀二 ㈱日本林業調査会
・日本林業はよみがえる 梶山 恵司
日本経済新聞出版社
・ドイツ林業と日本の森林 岸 修司
築地書館
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