No.342 植物は生き物だ~飲み込む~
2019年11月13日
岸本真弓
言うまでもなく植物は生物だ。だが、地に根を張り、葉を開き落としたりしながら、何万分の一なのか何十万分の一なのかわからない生長確率の子孫を撒いたりしながら、季節をめぐりゆっくり成長していく。植物のスケールは動物とは違いすぎる。
けれども、獣医師の私が、植物が動物と同じ生き物であることを実感する植物のある光景がある。それは創傷治癒の光景だ。
悪気はないのだろうが、痛みのわからないヒトに巻き付けられた異物は、フォトブログNo.334の帯や襷と違い、樹の生長ともなって無遠慮に食い込む。やがて皮は破れる。破れた皮は修復を試み、異物をも飲み込む。それが針金であっても(写真1)、有刺鉄線であっても(写真2)、さらに二次元の看板でもあってもだ(写真3)。これがまた、植物らしいタイムスケールで行われるのだろう。
写真1
写真2
写真3
おっと、これはアルハラですね。
飲みものを飲まされている。
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