研究員によるフォトブログ

No.394 重なれない、わけがある

2021年10月15日

森 洋佑

植物は葉っぱで太陽の光を受けて、光合成してエネルギーを得ている。ということは多くの人が知っていると思います。
そんな特徴がある植物なので、その形も光を受けるのに最適な形になっています。

写真1 オオシラビソの稚樹(横からみたところ)

写真1はオオシラビソの稚樹。頂端が潰れたようなお盆のような形をしています。
スギやヒノキで見慣れた針葉樹に特徴的な円錐形の形ではありません。
ただ、オオシラビソも成長すると先の尖った円錐形の樹形になります。

写真1の稚樹を上から見てみましょう(写真2)。みごとに少しの隙間もなく葉が並んでいるのが分かります。林冠から漏れてくる少しの光も逃さないようにしているのですね。

写真2 受光部が最大になるように枝葉を配置している。

広葉樹でも事情は同じです。写真3はオオカメノキの樹冠を下から見たところです。
一枚一枚の葉っぱは大きいですが、重なりが最小になるように、それでいて隙間も作らないように展開されています。
こうしたちょっとしたところに生き物のたくましさを見ることができますね。

写真3 オオカメノキの葉っぱの配置

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