研究員によるフォトブログ

No.454 デベソ風な何か

2024年06月14日

海田明裕

山中を歩いていると神社や祠にいきあたるときがあります。

それなりに古くても地形図に載っているものが多いが、たまに随分昔に祀られなくなりほとんどお参りされなくなったように見えるものもあります。

覚悟していないので急にそういう場所にでると少し秘密めいていて、なんとなくすぐには立ち去りにくくしばらく見てしまいます。

 

先日いきあたった、屋根も崩れてしまっているような古い神社の傍に画像のような石仏が佇んでいました。

 

結構古そうではあるけれど、細かい造形がまだよく残っており、地衣類にもあまり分厚く覆われていません。

峠道のお地蔵様や不動明王みたいな姿はわりと目にすることはありますが、この感じの石仏は初めて見ました。そもそも仏さんのというカテゴリーなのかも少し怪しい。

老人のようで、痩せた胸元、割と簡素な衣装、錫杖(杖)、お腹のあたりに何か丸い物を保持している。これが何だかわからない。よく見ると突起がある。巻物?のような?まさか切腹中?なわけはないし。

不謹慎承知で一番しっくり来たのは、理由はわからないがデベソをしかと握っているところ?こんな渋い顔でそんなことをしている訳はないか?

一体この人は誰なのか?何を持っているのか?

 

 

後日、「老人」「錫杖」「石像」と検索したら出で立ちと持ち物が一致したものがすぐに出てきた。どうやら役小角(えんのおづの)が答えのようでした。修験道の開祖とも言われる行者さんのようです。やはり仏さんのカテゴリーとは少し違ったようです。画像検索にでてくるこの人物は巻物を持っていることが多いけれど大体は巻物の長い面を正面に向けています。多分私が彫るとしてもそうするでしょう。わかりやすいから。
なぜ、わざわざわかりにくい筒の丸い面を正面にしたデザインにしたのか?正面に来た者に差し出そうとしているところなのか?その大事そうな巻物をひとに渡してしまっていいのか?

 

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