2008年4月記事一覧
No.48 タヌキの皮算用
岸本 真弓 恒例の春シカ調査で京都の山を歩いていた.シカの調査なのだが,タヌキのタメ糞が気になる.見つかれば思わず足を止め,かがみ込んでつんつんし,写真を撮ってしまう. 今年あるタメ糞場で小さな小さな“クツ”を見つけた.長さは1.5cmほど,幅は0.5cmほど.隣には母の毛か? 特に猟期明けのこの時期,タヌキたちはハンターの残したシカの残滓にありつける.小さなタヌキにとって大ご馳走に違いない.食べても食べてもまだまだある・・・といった具合か. 京都府の中北部の指定市町ではハンター1名につき1日3頭の狩猟が可…
No.47 仕事の道具(その2)~防熊のイージス(盾)~
片山 敦司 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第8条但し書きにおいて認められた種以外の動物の捕獲は同法違反となる。しかし『わな』による捕獲の場合、生態・形態の似た動物が誤って捕獲されるのを完全に防ぐことはできず、予防策を尽くしても稀に錯誤捕獲が発生する。錯誤捕獲において違法性を問われないようにするためには、捕獲者は個体を速やかに解放しなければならない。 だが、ツキノワグマが捕獲された場合の解放は容易ではない。イノシシやシカ用に製造された『はこわな』や『くくりわな』は、ツキノワグマの強靱な力により破壊される可能…
No.46 仕事の道具(その1)~注射筒の話~
片山 敦司 現場で使われる道具について、何回かに分けて雑文を書くことにする。今回は我々が医療器具として最もよく使う「注射筒(シリンジ)」の変化の話題である。 資源の大量消費・大量廃棄の時代から循環型社会への転換を図る政策が『3R』(廃棄物の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle))のキャッチフレーズの元に推進されている。ディスポーサブル(使い捨て)注射筒も写真1のように、廃棄物の発生抑制のためより薄く・より軽くなった。 医薬品メーカー『テルモ』社は、ホームページで『環境への取り組み…
No.45 動物たちの表情
加藤 洋 野生動物の生態調査に欠かせないことの一つに、電波発信機によるラジオテレメトリー調査がある。電波発信機を装着するためには、動物を生きたまま不動化(麻酔)する必要がある。また、我々はツキノワグマの放獣業務も請け負っているため、ワナに捕獲されたクマに麻酔をかけることがある。 麻酔をかけられ、我々の手中に落ちた野生動物。そのとき、野生下では決してみることの出来ない彼らの表情を見ることができる。普段、動物の不動化に用いている薬品は、動物の中枢神経を麻痺させ、意識・痛覚の消失を得ることができる薬品である。その成分…