研究員によるフォトブログ

2015年8月記事一覧

No.226 声なき声を聴く

2015年08月24日

岸本真弓 5月、山を歩いていたら何かが頭にポツンと当たり、落ち葉の重なる地面にカサっと落ちた。見ると長さ1cm直径5mmほどの葉っぱの巻き物だ。とても丁寧に巻いてある。  開いてみる。筒の側面の折り込み方など、かなり精巧な仕事だ。巻きをはずし、綺麗に半分に折られた葉を開くと、中にトビウオの卵のような黄色透明な卵がひとつあった。これは?  パソコンで「葉、虫卵、巻物」で検索すると一発で答えがでた。“オトシブミ”だ。名前は聞いたことがあったが、初めて見た。まさに落とし文。中に伝えたいことが書いてありそうだが、いくら開い…

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No.225 ブレーメンのカキもぎ隊

2015年08月18日

檀上 理沙 ※合成ではありません。 サルの群れを追跡していたときの一コマ。 民家脇にあるカキの木を狙うサルたちを記録するためシャッターを切った瞬間、私は叫んだ。『ブレーメンッ♡』 グリム童話の一編「ブレーメンの音楽隊」には、ロバ・イヌ・ネコ・ニワトリが団結して縦に連なり、家の中にいる泥棒たちを脅かしてごちそうを奪いとるシーンがある。 今回は、この偶然撮影できた1枚の写真に私が釘付けになっている合間に、まんまと彼らはカキをゲットし、そそくさと逃げて行った。 (写っていませんが、写真左横にカキの木があります…

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No.224 両立の大変さ

2015年08月10日

海老原 寛 山を歩いていると、伐採地に出た。そこには一面に草本が広がっていたのだが、ほとんどがダンドボロギクであった。ダンドボロギクは外来種であると同時に、シカの不嗜好性植物として知られている。今後、スギやヒノキなどの人工林を広葉樹林に変えていく取り組みがおこなわれていくだろうが、伐採後に芽を出した日本原産の草本はシカに食べられ、代わりに外来の不嗜好性植物が広がる光景が増えていってしまうのか。頭で予想はしていても、実際に目にするととても残念な気持ちになる。 20150810_ryouritsu.jpg

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No.223 山のベンチ

2015年08月04日

岸本真弓  ある山の小さな鞍部を通り過ぎようとしてふと見ると、ハシゴのようなものが見えた(写真1)。近づいてみると、苔生したベンチがあった。鞍部を見通すような位置に設えられたベンチ。旅人の休憩所か、山の精たちの語らい場か。。。  夢を壊してしまうが、種明かしは写真3。山越え旧道の欄干である。下に現在の車道が見える。いつの時代のものか分からないが、現代のガードレールのようなものか。時を経て、土は削られ、緑の絨毯をまとい、鞍部を渡る動物たちの観覧席になったようだ。 20150804_yamanobenchi.jpg

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