研究員によるフォトブログ

2016年5月記事一覧

No.242 近くて遠い

2016年05月31日

海老原 寛 ある動物園のバードゲージには、カワウやアオサギなど、日本の鳥が多数放たれていた。ちょうど時期だったようで、多くの鳥が営巣している。ふと見ると、ケージの鉄骨の角でカワウとアオサギが突っつき合いのケンカをしていた。だが、お互いの嘴は相手に届くことはない。なぜなら、2羽の間には金網があるからである。そう、アオサギはケージの外にいるのである。ケージの中にサギが多数飼育されているため、野生のサギ達が安全な場所だと勘違いをし、コロニーを形成してしまったようなのだ。雛が孵り、巣立つまで延々と続くであろうこの不毛な戦い…

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No.241 クスさん

2016年05月17日

宇野 浩史 イノシシ痕跡調査の道中、美しい網目状の繭を見つけた。 調べると、クスサンという蛾のものであるそうだ。クスサンは、漢字で樟蚕と書き、その名の通りクスノキなどを好んで食す、ヤママユガ科の一種だ。幼虫はシラガタロウと呼ばれ、クスノキだけでなくクリやクルミ、トチなどに食害を与える害虫として扱われる一方、誰が思いついたのか、その繭糸腺はテグスとして利用されることもあったそうだ。 「クスサン」、「シラガタロウ」という、害虫にしては何となく愛嬌を感じてしまう名称も、現在の主流であるナイロン製の釣糸がまだ手に入りにくか…

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No.240 針の穴を通す

2016年05月13日

岸本 真弓 錯誤捕獲されたクマに麻酔をかけ、檻から出して山に返す。移送放獣という。ハコワナの場合普通は吹き矢を使うが、捕獲檻が脆弱で壊されそうというお話なので、少し遠方から麻酔銃で麻酔をかけることになった。1射目、ちょっと失速し手前の何かに当たりクマに到達せず。その後無事命中し、クマはやがて一時的な眠りについた。  動かなくなったことを確認して、近づくと最初の矢がものの見事にハコワナの針金に刺さっているのがわかった。こんなところに当たる確率は、10cm×7cm格子の3mm径ワイヤーメッシュなら、102/7000(約…

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No.239 いにしえ石を発見

2016年05月09日

姜 兆文 丹沢山地でのシカ調査を終了後、川沿いを歩いて山を降りる途中、写真1に示した石を発見した。この石を見た瞬間、農耕時代の石器ではないかと思った。鋭い三角形の先端部および鋭く磨くために残ったはっきりした稜状線、石全体の滑らかな流線形(写真1)と直角の後部(写真2)。どちらの特徴も、昔、農作業で牛や馬に曳かせた、田起こし用の犂の鍬(写真3)の部分だと思われる。皆さんはこれが人間の手で加工されたものだと思うでしょうか。いつか、考古学者に依頼し、鑑定してもらいたい。 写真1.鋭い先端部と直角な後部 写真2.磨くため残…

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No.238 心霊写真の正体

2016年05月02日

檀上 理沙 サルの性年齢識別研修のため、ある野猿公苑を訪れた時のこと。 突然、サルの横から生首がこちらを見ていた(写真1)。 正体→サル用の餌を求めて現れたシカ(写真2)。 20160502_shinrei3.jpg

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