研究員によるフォトブログ

2016年7月記事一覧

No.254 真田丸

2016年07月28日

岸本 真弓 シカやイノシシを捕獲するために設置したククリワナに誤ってクマが捕獲されてしまうことがある。本来の目的でない動物が捕獲された場合には、速やかにワナから解除し、放獣しなくてはならない。 しかし、クマは危険な動物である。そのため麻酔薬を投与した上でのワナからの解放および安全な地での放獣が必要となる。 一方、ククリワナにかかったクマは必死である。多くの個体が夜に移動していてうっかり捕まってしまうのだろう。空が白んでくるにつれ焦りとパニックは最高潮となる。なんとかして逃れようと必死に土を掻き続ける個体がいる。 写…

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No.253 三角点探訪~番外編~御枡局三角點

2016年07月25日

岸本 真弓 愛知県に調査に行った時のこと。 山頂でも尾根筋でもないところ、古い人道の脇に三角点らしきものを見つけた。刻印の字は明瞭であり、左列は三角點(てん:点の異体字)と読み取れたが、右列の「御枡局」の読み方がわからない。 写真に納めて、後日調べた。 「御枡局」は「御料局」のことであり、皇室の所有地(御料地)を管理するため1885年(明治18年)に宮内省に設置された部署であることがわかった。御料地の測量のために御料局が設置したのが御料局三角点であり、1908年(明治41年)に御料局が帝室林野管理局と改称された後に…

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No.252 赤も青も注意

2016年07月22日

岸本 真弓 これまでに3度出会った。同じところで。 日本海側中国地方のある県で、青いヤマカガシに出会う。初めて見つけた時はびっくりした。模様はヤマカガシだが、色があきらかに認識と異なった。持ち帰って一緒だった両生爬虫類に詳しい調査仲間に見せたところ、変異色だと教えられ、蛇の専門家にお譲りしようということになった。 初めての個体と2012年の2度目の個体(写真1)はDOR、車にひかれたぺちゃんこの個体だった。3度目は2014年10月、生きている個体(写真2)。動画の撮影にも成功した。 ヤマカガシは色の変異が大きいらし…

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No.251 みんな友達

2016年07月20日

岸本 真弓 調査地に向かって車を走らせていると、刈り取られた田んぼが賑わっていた。近づくとさまざまなオブジェが飾ってある。近年全国各地で見ることのできる『案山子祭り』だった。地域のお祭りを模したものや、何気ない日常を切り取ったもの(写真1)。多くの力作が展示されていた。その中にあった「みんな友達」。 この地ではクマは絶滅している。少し離れたところにほんのわずかな個体が生息しているにすぎない。その現実がこの案山子を作らせたのか。悲しくもあり、嬉しくもある。 20160720_tomodachi04.jpg

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No.250 全部苦かった

2016年07月10日

海老原 寛 シカが林業に与える影響のひとつに、樹皮剥ぎがある。材として育てているスギやヒノキの樹皮を剥いで、価値を落としてしまう被害である。これは各地で多く見られてはいるが、シカの密度は同じでも、樹皮剥ぎがされている地域とされていない地域があるように思う。これにはシカの密度だけではなく、利用可能な資源量も関わっていると考えられるが、一種の文化のようなものもあるのかなと考えている。また、樹皮剥ぎがよくされている地域でも、されている木とされていない木が混在しているように思う。樹皮の剥ぎやすさなのか、おいしい木があるのか…

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No.249 ピットフォールトラップ

2016年07月09日

岸本 真弓  ずっと若かった頃、ピットフォールトラップでタヌキの食物となる地上徘徊性甲虫層の調査をしたことがある。  ある年の冬、シカの調査で近畿地方の山を歩いていると、足下に糞虫の死体らしき個体が多数ころがっていた(写真1)。どうしたのだろうとしばらく写真など撮っていたが、ふと前方に目をやると、目の前にあるものと同じものがある。そう、倒れたプラスチック杭だ。そちらの杭の周りにも多数の糞虫の死体(?)がある(写真2)。ふと地面に残る杭の中をのぞく。中にあるものを溜まった水の中から掻き出す。測ってみたら深さが44cm…

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No.248 小さな力が集まれば

2016年07月02日

海老原 寛 テントウムシは小物のデザインなどにもよく用いられ、かわいい印象があるのではないだろうか。しかし、私はテントウムシに襲われたことがある。ある年の10月、サルのテレメトリ調査のためにアンテナを振ろうと車から外に出たところ、多数のテントウムシが飛び交い、絶え間なく顔に、体にぶつかってきた。急いでアンテナを振り、車内に逃げた。ふと目の前にあった電柱を見てみると、下から上まで信じられない数のナミテントウが集合していた。その数は1万程度ではないかと思われる。冬眠の準備をしようと集まっていたのだろうか。原因はわからな…

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