No.155 500台湾ドルの花鹿
2011年10月11日
清野 紘典
台湾を旅した際に、換金した紙幣にふと眼が留まった。
台湾の紙幣500台湾ドル。日本円では約1500円に相当する。その紙幣にはニホンジカの亜種タイワンジカが描かれていた。
タイワンジカは今、台湾でどのようになっているのだろうか?
タイワンジカは鹿の子模様が梅の花のようであることから“花鹿”とも呼ばれる。
花鹿は漢方薬として需要が高く中国等に広く流通していた歴史を持っているが、過度な狩猟圧によって台湾本島の野生下ではほぼ絶滅している。
どのような捕獲方法を用いてシカの個体群を絶滅まで追い込んだのか、日本におけるシカ個体数管理のヒントになる方法が隠されているかもしれない。しかし、過剰な捕獲は花鹿を台湾の生態系から消し去ってしまった。当時の台湾でWildlife Managementが定着していれば花鹿は違う道を辿っていただろう。
現在、台湾では梅花鹿の保護・繁殖が行われている。
500台湾ドル紙幣の中の花鹿たちは、皮肉にもその運命を象徴するように人間に追い詰められて身を潜めているかのようだ。
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