No.44 転んだ後の杖
2007年11月14日
岸本 真弓
毎年恒例の秋のシカ調査.今年不覚にも初日に膝を痛めてしまった.登りはいいのだが,下りがきつい.もともとバランス感覚など皆無,絞ったとはいえ骨身についた人一(1.5?)倍の荷物がぐらつけば膝はどんどん悪くなる.そういう時に頼りになるのは「杖」である.
杖は歩いている最中に見つける.身の丈に合うことはもちろんだが,他にもいろいろと自分の好みがある.あまり固すぎず少し柔軟でしなる方が私は好き.真っ直ぐでなく,下から50cmくらいのところと上部高さ90cmくらいのところに微妙な湾曲があると言うことない.なぜなら,顔を地面にすりつけるほどの急斜面では,杖の低いところを持って地面に突き刺し,体をひきあげる.逆に下りでは手首に無理のない形で握り込める形がいいのである.ただ杖というもの,藪や倒木の多い所ではじゃまである.ともすればそんなとき,知らぬ間に,あるいは「ええい邪魔だ」と意識的に手放してしまうことがある.
お気に入りの杖が見つかった時には大切に扱う.あまりに急な斜面を下る時には「先に行ってろ」と投げ落とし,降りてから優しく拾う.今日のコースは荒れていると分かっていれば,「今日はいきがかりの杖を見つければいいさ」と留守番をさせる.ところが,たまに1日限りと思っていたのに古株のものよりお気に入りを見つけたり・・・ 杖って何かに似てないか・・・?
今回最も厳しいところを助けてくれたお気に入りの杖.やっと車についてほっとしてそこに忘れてきてしまった.今私の手元に杖はない.
(写真:タヌキのタメ糞の広がりを示す杖.目盛を打てばスケール代わりにも.)
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