No.139 羊歯の海(行く手を阻むもの4)
2011年05月09日
岸本 真弓
これまでの調査人生、最大の薮は15年ほど前、和歌山で立ちはだかったシダだ。高さは2mを越え、手の届かない上空で葉は笠のように覆っている。周囲は壁。茎が土壁の木舞のようにびっちり編まれている。押しても引いてもビクともしない。狭い足下でピョンと跳ねて全体重をかけて背中から倒れてみるとわずかに壁が窪む。それを数十回繰り返してようやっと数m進むという持久戦。過去第二の強敵はその後徳島で出会った。そのときは押し出されて涙の敗走だった。
写真は昨秋の和歌山。このくらいなら負ける気がしない。身長差30cm以上、登りで形勢不利ではあったが、この場所、浴びせ倒しで岸本関の勝ち。
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