研究員によるフォトブログ

NO.115 棒を持ち歩くシカ!

2010年08月02日

姜 兆文
20100802_boushika
 これは赤外線センサー付自動撮影カメラで撮影された、棒を持ち歩き、振り回すオスジカの写真です。カメラを11月に設置し、撤収した1月まで、写り撮り続けたのです。おそらく、角が自然に脱落する5月までそのままでいるのではないでしょうか。皆さんはこの写真を見たら何を考えるでしょうか。格好良い?かわいそう?苦しい?……。私は悲しいと思った。おそらく、シカの角に絡まったのは、各地に設置したシカの防除柵に使われた物の一部と考えられる。幸いこのシカは柵から切り離されて、脱出できたが、出来ない場合は、餓死しかないと思う。例年11~12月はシカの交尾盛期でもあり、このオスジカは上手く繁殖に参加できるかどうかは別にしても、森林の中での日常生活にも多大な影響を受けると思われる。シカの個体数急増による森林被害が深刻になり、防除柵の設置以外の対策選択肢が無い時には、シカの福祉を考えて、上記のような悲しい状況にならないように設置方法、使用資材などを十分に検討した上で、設置することを強く勧める。

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