No.296 寄らば大樹の陰
2018年04月23日
岸本真弓
鳥取の山の中で見つけたスギの木。
耳を広げたマンモスの頭部のようだ。どういう出来事があればこのような形になるのか。
過去には倒木があったのか、一番の根元には円筒形の間隙があった。
そこは、様々な動物たちが身を寄せた痕がある。地表はしっかり締められ、心なしか中央部がより凹んだ丸い形に見える。雨を凌いだか、風を凌いだか、はたまた会いたくない相手から身を隠したか。木の命の長さだけ動物たちの営みがくりかえされる。
そんな木に私もそっと寄りかかってみる。触れた腰が、腕が、心なしか暖かく感じた。
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