NO.311 弱り目に祟り目
2018年11月07日
岸本真弓
2017年、秋の初めに大風が吹いた。
いつも歩く山の尾根もたくさんの枝が落ち、様相が例年とは異なった。
植林地では、一部に黄色を刺したみずみずしい緑のヒノキの葉が、深く濃い緑の葉をつけたスギの枝が無数に地面を埋めていた。
落葉広葉樹林では、幹の折れた若木が目立った。ようく見ると、折れ曲がった側の樹皮がない。
シカに食べられているのだ。
全周を剥がれてはいなくて、まだ水や養分が葉先と根を往来していただろうに。
強風に耐えられず倒れたのだろう。
シカに手折られたともいえる。
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