研究員によるフォトブログ

2010年9月記事一覧

No.127 小豆島のシシ垣

2010年09月27日

岸本 真弓   小豆島のシシ垣は、わが国最大規模と言われている。獣害対策のために江戸時代から作られ、総延長120kmもあったらしい。有名なのは池田町長崎の尾根上にある幅0.6m、高さ1.6m、延長200mの土壁垣で、観光名所にもなっている。  小豆島は石の島でもあり、大阪城の石垣を切り出したことで有名だ。  シカの調査で小豆島を訪れた際、調査地内でいくつかの石垣のシシ垣を見た。現在の里に近いところもあれば、近年足を踏み入れた人は何人か?と思うような山奥深くにもあった。食べることに全精力をかけてくる野生動物に対して、…

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NO.126 紅(べに)

2010年09月08日

岸本 真弓  シカの調査で山を歩くとき、調査地はシカが問題になっている地域が多いため、すでに植生は変化してしまっている。  春、イノシシ調査で鳥取の山を歩く。アオキに出会う。シカが増えてきたら一番に姿を消す植物のひとつだ。おちょぼ口に指した舞妓さんの紅のように、実が色づき始めていた。いや、さしずめ現代なら、爪先のみを色づけたネイルアートか。  鳥取の山、いつまでアオキを愛でることができるだろう。 20100908_beni.jpg

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NO.125 続々・無防備な動物

2010年09月03日

加藤 洋  アナグマは、無事道路を渡りきった。私が行き交う車両に合図を送り、アナグマが道路を渡りきるまで皆様に待っていてもらったのだ。  あまりに、無防備なアナグマ。やはり、先程覚えた違和感が気になる。そっと近づき、確認してみた。側溝に倒れ込んでいる。激しい呼吸音。眼球は両方とも白内障様の状態を呈している。どうやら視力は殆どないようだ。外傷は認められない。毛並はまずまずなのだが、かなりの老齢なのだろうか。あるいは、既に一度轢かれていたのか・・・。  野生動物は、野生に生きている。我々が感知し得ない様々な事情により、…

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NO.124 決死の脱出

2010年09月01日

岸本 真弓   檻を用いた捕獲では、錯誤捕獲が避けられない。餌の工夫や、トリガーの調節でなんとか低減を目指すが、それでもやっぱり目的外の種が捕獲されしまうことがある。その際には速やかに放獣してあげなくてはならない。  アライグマ用の捕獲檻にイタチが捕まっているのが遠目に見えた。たぶん捕獲直後は大暴れだったのだろうが、力つきたか、小休止か、静かにしていた。放獣してあげようと檻に近づくと、逃げようと俄然必死になりだした。何度も試みたはずだろうが、もっとも大きな目から、抜けだそうと体を突き出した。「えーっ 無理だよ。今扉…

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