研究員によるフォトブログ

2018年8月記事一覧

No.305 花葬

2018年08月21日

海老原寛 クサギの花に埋もれたモンキアゲハ。もう動かない。生涯を終えたようだ。彼(彼女)の亡骸は未だ美しい様相を保ち、花に囲まれているその様は、まるで人間の葬式のようであった。亡骸の周りには、他のモンキアゲハがひらひらと飛び回る。もう動かない彼(彼女)にお別れを告げているのであろうか。 命が尽きてもそのまま地面に落ちず、花の上に舞い落ちることができたからこその美しくも儚い風景。それでも時が経てば地面に落ち、土へと帰っていくのだろう。その様もまた美しい。

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No.304 血痕

2018年08月02日

岸本 真弓 西方の島でイノシシ調査をした。この島は海中火山の噴火によってできた島で、土はミネラル分の多い火山灰土の赤土である。林床を覆うハート型の葉に血痕を思わせる赤い泥が飛び散っている(写真1)。その後をたどると(写真2)、りっぱなヌタ場が現れた(写真3)。 倒木が表土を剥がした痕のヌタ場は天蓋付きの浴場であり、そこに座るイノシシは開いた花の中に現れた『親指姫』を彷彿とさせる。この島には、数年前、初めてイノシシが泳いで渡ってきた。島最大の動物の出現に、島の人は戸惑っている。

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