No.305 花葬
2018年08月21日
海老原寛
クサギの花に埋もれたモンキアゲハ。もう動かない。生涯を終えたようだ。彼(彼女)の亡骸は未だ美しい様相を保ち、花に囲まれているその様は、まるで人間の葬式のようであった。亡骸の周りには、他のモンキアゲハがひらひらと飛び回る。もう動かない彼(彼女)にお別れを告げているのであろうか。
命が尽きてもそのまま地面に落ちず、花の上に舞い落ちることができたからこその美しくも儚い風景。それでも時が経てば地面に落ち、土へと帰っていくのだろう。その様もまた美しい。
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