研究員によるフォトブログ

No.491 カマキリと「黒い針金」の最期

2026年05月22日

林航平

調査中にふと足元を見ると、カマキリが息絶えていました。 しかし、ただの死骸ではありません。その傍らには、まるで黒い針金のようなものがうねっています。

正体は「ハリガネムシ」。
カマキリなどの昆虫に寄生し、成虫になると宿主の脳を操って水辺へと誘導するという、まるでSF映画のような生態を持つ寄生虫です。写真の状況を見ると、アスファルトの上でカマキリが潰れてしまったか、あるいは力尽きたタイミングで、たまらず体内から脱出してきたのでしょう。しかし、そこは彼が求めていた水辺ではなく、乾いたアスファルトの上でした。
宿主を操り、死へと追いやる寄生者。しかしその寄生者もまた、一歩外に出れば無防備な存在として、こうして土に還っていきます。美しい森や珍しい動物だけでなく、足元の数センチの世界でも、食うか食われるか、利用するかされるかの壮絶な生存競争が繰り広げられています。
このグロテスクとも言える光景もまた、偽らざる自然の姿の一つなのです。

一覧に戻る No.490 13年のつながり
ページの先頭へ