No.486 どんぐりはクマに食べられたくはない
海老原寛
2025年は、本当にクマの話題が多い年でした。出没については様々な原因が言われていますが、どんぐりの不作は原因の一つではあったことは間違いないでしょう。
西日本のクマの出没は(不確実な情報は多かったものの)あまり多くなかったですが、どんぐりの結実がそれなりに良かったことが同様に関係しているのでしょう。実際、四国の山を歩いていると、どんぐりがたくさん落ちていました。
いろいろな報道やコメントなどが溢れましたが、「どんぐりにとって、クマは敵である」という点はあまり語られていなかった印象です。
どんぐりの木にとって、どんぐりの実は種子=子供なので、本当はクマやネズミ、リスなどに1粒も食べられたくないでしょう。ですがどうしても食べられてしまうので、たくさん実をつける年があります(豊作)。そうすることで、食べられずに残って芽が出る確率を上げようとするわけです。ですが、一方でクマもネズミもリスもたくさんどんぐりを食べることができるので、その分個体数が増えたり、生存率が上がります。
それを繰り返すとキリがないので、どんぐりはあるとき実をつける数をどーんと減らすことで(凶作)、自分の子供を食べる動物たちの個体数を減らそうとします。そういう年には、動物たちは食べ物を求めていつもと違う場所(例えば人の生活圏)へ行ったりするわけです。そうした翌年、どんぐりはまたたくさん実をつけることで、芽が出る確率を上げようとします。
どんぐりも動物と同じように、自分の子孫を残すことが一番優先されることであって、誰かの食べ物を提供するために生きているわけではありません。なので、これからもどんぐりが少ないことにより、クマが飢えて人里に出没する状況は普通に生じるでしょう。そのような中で人身事故を減少させるためには、クマを捕獲しなければならない話もあれば、保全をすることも必須です。
様々な方々が様々な立場で今回のことを考えているかと思いますが、このような自然の摂理がクマをはじめとした野生動物の行動に影響していることも考慮しながら、一緒に解決策を考えていければなと感じています。
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