No.304 血痕
2018年08月02日
岸本 真弓
西方の島でイノシシ調査をした。この島は海中火山の噴火によってできた島で、土はミネラル分の多い火山灰土の赤土である。林床を覆うハート型の葉に血痕を思わせる赤い泥が飛び散っている(写真1)。その後をたどると(写真2)、りっぱなヌタ場が現れた(写真3)。
倒木が表土を剥がした痕のヌタ場は天蓋付きの浴場であり、そこに座るイノシシは開いた花の中に現れた『親指姫』を彷彿とさせる。この島には、数年前、初めてイノシシが泳いで渡ってきた。島最大の動物の出現に、島の人は戸惑っている。
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