研究員によるフォトブログ

No.303 尾根の消失(行く手を阻むもの8)

2018年07月18日

岸本真弓

紀伊半島は台風の被害を受けやすい。ある年のシカの調査で尾根を歩いていたら、全面に赤茶けた裸地が広がった。進むべき尾根が、、、ない(写真1)。どうやら、斜面崩壊が発生したようだ。その対策として工事が実施されていた。

 

写真1

見事に何もかもなくなった一帯を見ていると、ここが何であったのか想像できない。しかし周囲をよく見ると、きっとこのあたりも植林地であったのだろう(写真2)。
流れ落ちた土砂や倒木が斜面下にどのような被害を及ぼしたのか考えると恐ろしい。山は木で守られるはずだが、木が守り切れなかったとき、山は身を削って木を振り落とす。「おまえじゃだめなんだあ」山の叫びが聞こえる気がする。

尾根がなければ調査にならない。尾根じゃないルートをすり抜けた。

 

写真2

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