研究員によるフォトブログ

No.176 屋久島のサルとシカ

2012年12月10日

清野 紘典
鹿児島県の南の海上に位置する屋久島。日本を代表する世界自然遺産の一つである。
屋久島のヤクザルやヤクジカは、屋久杉、ウミガメと並んで屋久島の自然の豊かさのシンボルになっている。
屋久島の西部林道は、車で数百mも走ればいくつものサルの群れやシカのグループに遭遇できる場所で、サルとシカの生息密度が高いエリアとして知られている。
そんな西部林道、道路上にサルの糞が一つとして落ちていない。
あれだけたくさんのサルがいれば糞のひとつも落ちていてもおかしくない。
ではなぜ見当たらないのか、シカがサルの糞を食べているのだ。
増えすぎたシカは口が届くところにある嗜好性のある草本や葉を食べつくし、サルの糞を食べなければならないほど食物に困窮しているのである。
サルのお尻を口でつついて「糞はまだ?」とばかりに催促する様子も観察される。
野生の動物がたくさんいて一見豊かに見える自然、しかしながら本当の自然の豊かさとはなんなのか、そんなことを問いかけられる光景が屋久島でもみられる。
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