研究員によるフォトブログ

No.324 得意不得意

2019年03月22日

ペンネーム  ぺんぎん

どこまで続くか分からない、地図上の道が途中で切れている林道を車で走っていた時のこと。
一緒に行動していた調査員(運転中)が突如ブレーキをかけた。
なんだ?と思っていると、興奮した様子で「カモシカがおる!」と言ったので、指を指した方向を見ると法面にカモシカが2頭いた。

 

丁度、法面を登っている最中のカモシカに遭遇したらしい。
でも様子がおかしい。
スタスタ登っていかない。
法面のど真ん中で立往生している。

カモシカ調査といえば、私たちはいつもハラハラドキドキしながら斜面を踏査している。
もちろん痕跡も斜面のきついところで多く見かける。
だからカモシカは急斜面を物ともせず軽やかに登っていくものだと思っていた。

でもどうやら違うらしい。

先頭を登っていたカモシカがしびれを切らして(?)先に登り切ってしまった。
残ったもう1頭は、どうしたらいいのか分からない様子でじっと固まっている。
時々モゾモゾ動いて、ヨダレをだらんと垂らし、キョロキョロと頭を動かして周りの様子を見ている。
1歩を踏み出そうとしては、思いとどまる様に体をピタっと止める、を繰り返している。
「やっば…どうしよ…」という心の声が聞こえてきた気がした。

少し離れて様子を見ていると、ようやく動き出した。
恐る恐る、滑り落ちない様に、法面の小さなくぼみに足を置きながら、ゆっくり道路に向かって降りてきた。
そして、道路に降りると、道路を渡り、走って林内(谷側)へ進んでいった。

きっとカモシカは木々が生えている林内では、斜面であろうと難なく歩けるのかもしれない。
法面が多ければ多いほど、その山で生活している動物たちの横断の妨げになっているのかなと、改めて思った。

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