No.210 天然の足跡トラップ
2014年12月12日
星野 莉紗
小川沿いで小さなぬかるみを見つけて足を止めると、まるで爪楊枝よりも細く、可愛らしい痕跡をみつけた。一見、鳥類の足跡のように見えたが、よく見ると小型の哺乳類のようだ。おそらくネズミの仲間だろう。餌でも探していたのか、付近のぬかるみにもたくさん足跡が残っていた。
体重が軽く足の短い彼らは、地面が少し固すぎれば跡はほとんど残らず、逆にやわらかすぎる雪の上などでは足跡というより体全体を引きずったような跡になってしまうため、中型以上の動物と比べて足跡が鮮明に残るのは珍しいように思う。
地面に細かな土やインクと紙を置いておき、数日後にそこに残った動物の足跡を調べることで哺乳類の生息状況などを調べる「足跡トラップ」と呼ばれる調査があるが、この日のこのぬかるみは小動物の調査をするのに最適なトラップだったようだ。時々こういったことがあるので、野山でぬかるみを見つけるとついつい足を止めてしまう。
20141212_foottrap.jpg
No.211 置きたくなる人 | 一覧に戻る | No.209 炎のようなスギの… |