研究員によるフォトブログ

No.211 置きたくなる人

2015年01月15日

岸本 真弓
山を歩いていたら、石柱の上にアナグマの頭骨が置いてあった。アナグマの頭骨を見つけて持って帰りたくなる私のような人間でなければ、石柱の上に置くのもわかるな、と思い歩を進めると、今度は倒木の上に石があった。何か不自然だ、そう思いながら進むと、次は切り株の上に明らかに、不自然に、そう石が置いてあった。目線をあげると、なんと、切り株という切り株の上に石がある。
これは、茶目っ気にしては度がすぎる。最初はふざけて置いていたが、だんだん止められなくなったのだろうか。そんなことをやってしまうのは、一見さんである登山者ではなく、何度もこの地を訪れている山仕事の人のような気がする。仕事を終え、軽やかに山を下りながら、笑い声を飛ばす数人の後ろ姿が目に浮かんだ。山で生きる人を見たような気がして嬉しくなった。すべて妄想だが。
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