研究員によるフォトブログ

No.22 丹沢にて

2004年05月21日

横山 典子
 去年は、シカ調査のおかげで丹沢山地の主な山を登ることができた。
 生まれが福岡で大学は島根である私は、西日本の山しか登ったことがなかった。福岡にいたときは、家族でよく山登りに行った。北部九州のいろんな山を登ったが、標高1000mを越える山に登ったのは九重連山に登ったことがあるだけである。九重は家から遠いこともあって、朝早く出かけて家族の一大イベントのようなかんじで、気合をかなり入れて行っていた。
 しかし、丹沢では1000mを越える山は普通にそこにある感じで、普通に標高1000m以上の場所で調査をした。なんだか拍子抜けした。以前、あんなに気合を入れて臨んだのはなんだったんだろう。
 さすがに、丹沢山地は立派なブナがたくさんあって、私からすれば、いかにも高山という感じだった。西日本と比べると常緑の木が少なく、山も明るい感じである。冬には、シカのカウント調査をしたが、ほとんどの木が落葉していてものすごく見晴らしがいい。島根でカウント調査をしたときは対岸の尾根などまったく見えなかったが、丹沢では本当に良く見える。
20040521_zakki22
しかし、こんなに良く見えるということは、見た目の量からいってもシカの餌となる植物が、西日本と比べるとものすごく少ないことの証明でもあると思う。実際、島根でシカの調査をしたときは一度も自然死の個体を見たことがない。落葉広葉樹の林で生活しているシカは、常緑の林で生活しているシカよりも、生きることに必死なのかもしれない。かといって、西日本のシカがのんびり暮らしているようにも見えないけれど。こんなことを考えていろんなところに行っていると、そのうち地域によるシカの性格の違いがわかるくらいになれたらいいなと、妄想を膨らませてしまう。

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