研究員によるフォトブログ

No.152 巣箱に住むと幸せになる?

2011年09月05日

姜 兆文
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 丹沢山のある地域で4人が話しながらシカの調査をしていたところ、ヒノキの幹に掛けてあった巣箱からムササビの頭が出ているのを見つけた(写真)。皆は小さな声で「ごめんなさい」と言って互いに笑った。つまり、夜行性のムササビは私達のうるさい声に睡眠を邪魔され起こされたのだ。
 このムササビとの出会いからあることが考えられる。山を歩くと、鳥・ムササビなどのため、あちこちに巣箱が掛けられているのが見られるが、これは戦後大規模な造林によって動物が巣として利用していた穴等がある古い木がなくなってしまったための一時的な措置である。ひとまず、動物達にとって住む場所が確保できたことは良かったと思うが、彼らが住むための他の条件はどうなっているでしょうか。よく知られているように動物には生息するための三つの基本的な条件(住む場所、食べ物、水)がある。広い面積が単一の常緑針葉樹林では、いくら人工的に住む場所を作っても豊富な餌を得ることは出来ない。70年代から野生生物保護の意識が高まり、沢山の巣箱を掛けたが、単一の常緑針葉樹林という状況はあまり変化していないことが現実である。これから、皆の力で少しずつ環境に優しく、動物も生息しやすい多様な複層林になるように頑張らなければならないと考えている。

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