研究員によるフォトブログ

No.195 クマさんありがとう fromタヌキ?

2014年05月19日

岸本 真弓
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 久しぶりに中部地方を歩いた。近畿地方で見つけると嬉しくなるクマ糞も、当地では緊張感を覚えるほどの発見率だ。
アセロラドリンクのように鮮やかなイチイのクマ糞が3個も目に飛び込んできた。甘みたっぷりマロンを思わせるドングリのものは口内の唾を誘う。明らかに違う時、あるいは違う個体の落としものである(写真1)。
 ケモノ道に点在するクマ糞の横に、地味にタヌキのタメ糞があった(写真2)。タヌキもイチイを食べたいだろう。けれども、イチイは自分では行けないところにしかないかもしれない、行けても一番美味しい状態のものは登れない木の上の方にある、それにこんなにたくさん集めるのは大変だ。このイチイをタヌキが見逃さないはずはない。と、私は思う。
 クマはタヌキの10倍以上の体格でより大きく移動できるだろう。木にも登れてまさに美味しい熟したての実を食べることができる。そしてどうやら消化はよくなさそうだ。「糞」というと不潔に思うヒトがいるかもしれないが、自然界で「不潔」などという言葉に何の意味があろう。種子散布とは別の、クマ糞の価値があるような気がする。

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