研究員によるフォトブログ

No.220 ママーーーーー!!!

2015年06月17日

檀上 理沙
2014年7月。母グマがイノシシ用の箱わなに錯誤捕獲され、子グマが周囲にうろついるとの通報が入り、現場へ向かった。現場到着時、母グマはすでに興奮状態で、周囲は緊迫した雰囲気に包まれていた。状況確認のため、箱わなに接近すると近くの薮から『クマーーーーッ』『ンマーーーーッ』と鳴く声が聞こえた。私は、その時初めて子グマの鳴き声を聞いた。(本当にクマ~ッて鳴くんだぁ!)と、心の中はとても舞い上がっていたが、緊迫した状況のあまり素直に喜べない状況だった。その声は1頭ではなく、2頭で鳴き交わしており、どうやら2頭の子グマが周りにいることがわかった。
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幸い、箱わなが強固な作りであったため、母グマの方は迅速かつ安全に不動化することができた。そして、私が母グマの外部計測等を行う間に、上司が薮に入り1頭の子グマも無事確保した(写真1子グマ�@)。しかし、もう1頭の子グマは人の気配のせいか逃げていってしまった。コグマ�Aの捕獲はあきらめ、コグマ�@の外部計測に行った。その姿がかわいらしいこと♡。ただ、手はしっかりとしたかぎ爪を持ち、やはりクマだった。
必要な作業項目を終え、親子グマへの配慮から現地放獣が行われることになった。放獣する頃には捕獲できなかった子グマ�Aも舞い戻ってきて、草むらからひょっこり顔を出しながら、『クマーーーーッ』と母グマをしきりに呼んでいた(写真2子グマ�A)。『ママ~?大丈夫~?』とでも言っているようだった。その仕草を目にして私は、若者言葉で表現すると寸前だった。もうすぐ一年経つがあの親子は、元気だろうか?

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