研究員によるフォトブログ

No.280 死骸がいっぱいの緑の遊歩道

2017年09月20日

姜兆文

 夏のある日、駅へ行く途中のことであった。八王子バイパス脇の緑の多い歩道を歩いていた時、大量のミミズの死骸(写真1)に出くわして、驚いた。

 バイパスと歩道の間にはツツジの茂みがあり、歩道を挟んで向かい側は緑豊かな住宅地である(写真2)。ミミズは茂みから住宅地へ移動する途中、炎天下で死んでしまったのだろう。人間は快適に生活するために道路を作ったが、ミミズとしては、大変な迷惑だと思う。約3メートルの歩道は人間にとってはさして広くはないが、ミミズにとっては、大変な距離になる。また、このようなミミズの死骸を見かけるといつも次のことを疑問に思う。「ミミズはなぜ命をかけて、一生懸命に道路の反対側へ移動するのだろうか?」「ミミズの目には、人間はどのように映るだろうか?」

 最近、約30年の間に大学のキャンパスの区域ごとにいたネズミ類の遺伝子多様性が失われたことが
報告された(Sato et al 2014, Mammal Study, 39.1-10)が、分類学的にはネズミより構造が「単純」な
ミミズの遺伝子多様性は道路の分断によってどのように変化したのだろうか。
すぐに、分析してみたくなる。

 

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