No.312 山と里を隔てるもの
2018年11月18日
海田明裕
その日の調査も終盤、そろそろ集落の気配がする山の裾。
急に腰丈ほどの古いけれども形の残っている石垣が現れた。
山裾に沿ってかなりの距離で続いている様子。
無理に乗り越えず通り易そうなところを探すうち、急に石垣が途切れた。
ちょうどその切れ目のところ(写真1中央)に
ポッカリと、これまた崩れのないきれいなまんまるの石組みの穴が空いていた。
直径は1mあるかないか、深さは4メートルほどか。
手の使えない動物であれば容易には這い上がれない。
私の推測だがイノシシなどを追い込んで獲る落とし穴ではないだろうか。
壁づたいに逃げまどい
やった隙間があるぞと思った途端
スットーン!
しかし、この大規模な仕掛け建設労力どれほどのものだろう
肉が食べたい!やつらを里には出すまい!という気迫をひしひしと感じる。
危ないから埋めろという意見もあるかもしれないが、わたしには立派な祖先の遺産であると思える。
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