研究員によるフォトブログ

No.380 調査地への道のりは遠し

2021年05月07日

森洋佑

このフォトブログを見ている方はフィールドワークの経験がある方も多いと思います。そんなフィールドワーカーには「ここがメイン」というフィールドがあると思います。いつもは車で通ってしまうあの道、実際にはどれくらい遠いのだろう、と思う方も多いでしょう。私もそんな一人です。学生の時はテントを担いで徒歩で1泊かけて調査地までアプローチしたこともありました(70kmくらい)。
現在、私の主なフィールドは箱根になっています。ちょっと徒歩ではキツいかなと思う距離ですが自転車ならば、と思わなくもない距離です(片道90kmくらい)。そんなことをそこはかとなく考えていた冬晴れの日。行くなら今日でしょ。
朝一番に家を出発し一路西へ。山北町くらいまでは調子よく進んだのですが、国道246号はトラックが多く、道も狭く。一番接近したときは、左のペダルが縁石に擦るくらいでした。しかし、そんなのに負けていてはこれからの箱根の山は登り切れません。向かい風に心折れそうになりながらもガシガシ進みます。
いつもは車から横目に見るだけの乙女峠からの富士山も一度止まってゆっくり見られます。自転車で進むと車では見えない景色が見えてくるのが良いですね。


乙女峠から見た富士山。

仙石原で所用をすませて次は帰りです。帰りは国道246号を避けて小田原経由で帰ります。調査で足繁く登る駒ヶ岳も夕日に照らされて山全体が本当に燃えているようです。


駒ヶ岳とロープウェイ駅

正月の風物詩、箱根駅伝のコースにもなっている国道1号線の最高標高地点も写真スポットですね。


標高874m、国道1号線最高地点

そこを過ぎると小田原まで一気に下ります。急な下りですが車が数珠つなぎでスピードは出せません。それよりもペダルも回さないので体が冷え切ってしまいます(気温6度)。体が冷えるだけではなく、手も凍えて握力が・・・それに呼応してだんだん前の車との車間が・・・何度か路肩に止まって手を温めながら進みます。
小田原、平塚、厚木と経由して相模川沿いを遡上します。ここで救世主登場。通勤でこの道を使っているというローディーに声をかけてもらい前を走ってもらえました。自転車の大敵は風ですが、先行する自転車の後ろに付かせてもらえると一気に楽になります。ペダルを回したら回しただけ体も温まっていき、もう売り切れたかと思っていた足が再び回り出しました。そんな邂逅もあり予想よりもかなり早く家に到着できました。ローディーの方、ありがとうございます。

そんな調査地への旅でした。車でいくと高速道路とガソリン代を合わせて7,000円くらいかかりますが、今日の移動費は私のガソリン代として2,200円でした。しかも、その経験はプライスレス!箱根までの距離感も(その辛さとともに)体感することができました。CO2を出さないエコな旅というのもいいですね。逆に、もうちょっと「近い」と感じられるよう体力付けないとダメだということも再認識。
いつもは仕事中のひとコマを描写するブログが多いですが、珍しく(恥ずかしげもなく?)調査員の日常を紹介しました。本社でこんな時間を過ごしているのは私と、実はもうひとりいます。WMOは、そんな多様な人が集う場所でもあります。

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