NO.93 タンポポ
2010年05月25日
岸本真弓
春になれば道ばたや畦にタンポポが咲く。幼い頃、ポケットや髪に飾ったり、花を首飾りにしたり、茎を笛にしたり。うららかな陽気にぴったりな、明るく楽しい自然の遊具だった。
今年春、京都府旧夜久野町でアスファルトの道と田んぼのコンクリート堤の隙間にタンポポを見つけた。ガードレールに負けない白い花。シロバナタンポポだ。首飾りを作った無邪気な時代から40年。もう私は摘むことはしない。ましてやシロバナタンポポなら、絶対に。
タンポポも在来種が外来種に押され、姿を消しつつあることは有名な話だ。荒れた土地でも半年もあれば花を咲かせ、受粉せずにつくった種は地面に落ちたらすぐに芽をだして、ほぼ一年中それを繰り返すことのできる外来種のタンポポ。それに対して豊かな土壌が必要で、虫に受粉してもらわないと種をつくることができず、花が咲くまでに2,3年必要とする在来種のタンポポ。
撹乱された環境は、外来種のタンポポに有利で在来種にはすみにくい。そのため、外来種のタンポポは「都市化の指標」となると言われている。
コンクリートの隙間から顔を出したシロバナタンポポ。周りの豊かな自然が世代を紡いでくれることを祈ります。
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