No.208 地をつかむ
2014年11月19日
岸本 真弓
細い尾根を歩くと、地面にあん馬の把手かうんてい(さるわたり)があるように見えることがある。尾根を遠慮したように脇に生えている木の根っこだ。細尾根の土は、動物の往来や雨によって流れ、容赦なく根をむきだしにする。
木は真っ直ぐ天を向いている。土の中で根はY字バランスをとっているのだろう。根が地をつかみ、地が根をつかむ。生態系は生き物だけの関係ではない。土が流れ続ければいつかバランスを保てず木は倒れてしまうだろう。そしてそこには穴があき、水がたまってシカやイノシシがヌタうつのかも。
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