No.299 小さな島の赤と白
2018年06月04日
岸本真弓
長崎県の五島列島の北部に小値賀町という人口2500人の小さな町がある。縁あって島を何度か訪れた。何もない、何もないが、いや何もないが故にほっとする。島は小さく、あっという間に回りきる。でも、また回りたくなる。そんな島に赤浜はある。
海中火山の爆発によって生まれた小値賀島、その際火山噴火で飛ばされた溶岩が地球時間によって細かく砕かれ、風化して砂になった。ここに流れた溶岩には鉄が多く含まれたのか、地表に飛び出した際に酸化し赤色を呈したという。小値賀島の土が赤いのは他の火山島と同じとわかっていたが、赤い砂浜なんて始めて見た。掘っても掘っても赤いのだ。もちろん海中も赤い。
しかし、小値賀の他の砂浜は赤くない。普通の白砂だ。いったい海中のどこでどのような色になっているのだろう。混じり合った梅色や桃色の場所があるのだろうか。
小値賀町に所属する無人島野崎島の野首海岸の白砂の白は小値賀の他のどこの浜よりも白い。そして海は透きとおる碧さ。これにも何か理由があるのだろう。
小さな島の赤と白。地球の作り出す造形美。地球時間からみるとほんの一瞬なのだろうが、数が増えすぎたとされるシカや泳ぎ着いたイノシシによって島に乱れがおこっている。
赤浜
砂も小石も赤い
野首海岸(曇天でもこの白さ)
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