研究員によるフォトブログ

No.434 恐竜の卵化石ではなかった!

2023年08月09日

先日、No.412で「恐竜の卵化石を発見!」を報告したが、恐竜化石の専門家に確認してもらったところ、残念な結果となってしまった。その主たる根拠は、卵の「殻」に見える部分の厚さが一定ではない事(写真1、2、No.412の写真も参照)であった。恐竜の卵化石の殻の厚さは、肉眼では僅かな違いを見分けるのが困難な程、どこを取っても大きく変わらないそうだ。

この正体は岩石が玉ねぎの薄皮のようにはがれる、「風化」の一種であった。岩石の表面と岩石内部の膨張量の差による歪みによって、割れ目が生じる。さらに岩石に染み込んだ水や日光によって鉱物が物理・化学的に変化し、体積膨張が起こることによって、外側の部分の風化が進み、タマネギの皮のように剥がれ落ち、球状に母岩が残る。この球状岩石の形成過程は「玉ねぎ状風化」と言う。岩石の構造は「Onion Structure」と言い、残った「玉」は「コアストーン」とも呼ばれる。

卵化石ではなかったが、火成岩の一種で、面白い地質構造であることが分かった。今回の結果にめげず、好奇心をもって何か面白い発見があったらまた報告しようと思う。

 

写真1.一見厚さが均一であった

 

写真2.「殻」に見える部分の厚さが異なる

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