No.10 秋の味覚満載
2002年11月25日
岸本真弓
ニホンジカの糞塊密度調査で10月24日福井県足羽郡美山町草間岳に登った。そこでなんとも季節感溢れるものを見つけた。ギンナン、アケビ、サルナシ。秋の味覚満載。タヌキのタメ糞である(写真1)。引いた写真ではわかりにくいので、アップを見てみよう。
写真2にはギンナンとアケビ。ギンナンの黄色い皮があざやかだ。タヌキは人が食するギンナンの仏様は食べられない。いや、食べられることも知らないのかもしれない。黒褐色に光り、白いトッピングをぷちっとつけているのはアケビの種。ところどころに上品な紫を残すアケビの皮も見える。写真3はギンナンに囲まれたサルナシだ。私が以前極上品と評した(Field Note No.49)テンのサルナシ糞にはかなわないが、タヌキによってこなされた様は抹茶シェイクのように麗しい。ああ、ここのタヌキはなんて幸せなんだろう。
先日発行された小学館の週刊「日本の天然記念物 タヌキ」に菊地悦子さんは書いている。「タヌキはなんでも食べる。ポリシーもつまらぬプライドも何もなく、森の中では森のものを、里では里のものを、街では街のものを、あるがままに食べる。」
タヌキを全面的に応援する私としては「ポリシーやプライドがないとは聞き捨てならぬ。反論せねば」と思うのだが、実際のところ”ぐうの音”も出ない。でも、山のタヌキはおいしいものを知っている。季節を知っている。そんな山のタヌキは町のタヌキより絶対幸せだと私は思う。
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