研究員によるフォトブログ

No.39 衛生害虫に気をつけろ!part2

2006年09月29日

片山 敦司
 本シリーズNo.4「択捉島調査雑記1」で衛生害虫対策を語った割に心構えができていなかったというお話。
 夏の低山に入る時は、長袖+長ズボンと防虫スプレーは必須で、裾がぴったりと締まった服装が必要と心得ている。だが、つい暑さに負けて服の締めが緩くなったり、滝の汗にスプレーの効果が失われても、あまりに暑さに「やってられっかい!」と投げやりになっていたりする。・・・ということで、7月某日、ダニにやられました。
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 ツキノワグマのヘアトラップを笹藪の中に設置する作業をしていて、気がつくと作業服の上に大量のダニがへばりついていた。最初は塵と思ったのが、わさわさと動いているのに気がついた時はそれなりにショックですが、そいつらを叩きおとして一安心して家に帰った後で脇腹などにカサブタに似た異物感を感じた時はもっとショックです。
 奴ら(マダニの仲間)の口器は恐るべき兵器です。皮膚と皮下組織を鋏角(きょうかく)で切開し、返しのついた口下片(こうかへん)を差し込み、さらにご丁寧なことにセメント様物質を注入して口器と皮膚を接着する。そうなるとちょっとやそっとではダニを引き離すことは不可能です。
 お医者さんに行くと、局所麻酔下で皮膚を切開してダニを除去することが多いようです。お医者嫌い(というより診察の待ち時間が嫌い)な私はこそこそとインターネット上で調べて『アルコールを浸した綿花とかワセリンを長時間つけておくと簡単にとれる』という対策を試してみました。
 結果は・・・『根負け』でした。アルコール綿花を上からかぶせて10分経過して引張り、15分後に引張り、ついに20分ほど経ったところで、我慢できずに「えい!」と引張っちゃいました。無理すると接着された口器が皮膚に残ってしまいます。こうなると後の炎症がひどくなるし,とろうとした時に虫体を圧迫するとダニが媒介するさまざまな疾病の病原体の感染率が高まるおそれがあると言われています。
 山に入る時は、衛生害虫対策には十分に注意しよう。また、不幸にして奴らのお気に入りになった時には、お医者さんで適切な治療を受けましょう。

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