研究員によるフォトブログ

No.33 ヘアートラップ調査の楽しみ

2005年11月24日

森本 英人
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 この夏、長野においてヘアートラップ調査というものを行いました。これは、ある地域に何箇所かバラ線を張り、クマの毛を採集して、DNA分析を行い、個体数推定を行うものです。
 長野ではトラップを100箇所設置し、約10日に一度毛の採集を行いました。一口に100箇所といっても、これはなかなか大変な作業です。今回は3チームで動いていたので、1チーム約33箇所。すべての箇所で、バラ線をじっくり見てクマの毛を探すので、さすがに疲れます。
 しかし、そんな疲れが吹っ飛ぶ瞬間があります。それは、やはり熊が来ていたときです。
 熊が来ていたとわかったら自分は探偵モードに入ります。まずは、”現場検証”です。なるべく”現場”を荒らさないように歩いて、足跡、糞がないか調べます。今回は残念ながらトラップ近くでは2つしか糞を見つけられませんでした。どちらも何かの種子が入っていました。現在、植木鉢に植えてあるので、じきに芽が出て何の種子かわかることでしょう。
 次に周囲の木を見て、爪あとがないか探します。熊が来ていたらたいていついているので、わかりやすい”証拠”といえます。爪あとがある木を見つけたりするとぞくぞくします。そして、最後に丁寧に毛の採集を行います。
 このようにヘアートラップ調査は地味な作業ではありますが、めったにお目にかかれない熊を身近に感じる調査でもあるのです。次はどんな熊が来ているのか、わくわくしながら次のトラップへと向かいます。
 ただし、あまりに熊に来られると、作業が進まないため、時々うんざりしてしまうこともあるんですけどね。

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