No.150 キツネのメニュー
2011年08月22日
山田 雄作
先日、甲斐駒ケ岳へニホンジカの調査に行ってきました。天候はあいにくのため期待していた高山帯の壮大な景色を楽しむことはできず、むしろ雨に打たれて寒くて大変厳しい調査でした。
そんな調査の帰り際、甲斐駒ケ岳のピーク付近でキツネの糞を見つけました。高山帯でのキツネの生息は以前から確認されていることから、キツネの痕跡の発見はよくある自然なことではあります。
問題はその糞の中身であり、1本の輪ゴムが確認できました(写真1)。このことからキツネが人の出した残飯やごみを利用していることがわかります。実はキツネの糞に人のゴミや残飯が混ざっていることは珍しくありません。それだけ高山帯で食べ物を得るのが難しいのか、人の残飯がよほど魅力的なのでしょうか。いずれにせよ、人の残飯という食物が高山で得られれば個体数が増加する可能性や、ゴミで病気を引き起こし死亡する可能性もあります。こうして人が残飯やゴミを捨てた結果、高山生態系への影響を引き起こしてしまいます。
こういった高山帯のような特殊な環境ほど外部からの影響を強く受けてしまいます。私も調査の際にゴミや他地域の土などを持ち込まないように、植生を踏み荒らさないように強く意識して行動をしなければなりません。
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