研究員によるフォトブログ

No.216 イノシシ、慣れの果て

2015年05月13日

清野紘典
イノシシは小心者で臆病な動物です。
警戒心が高い動物がゆえに昼間は山林や藪の中に潜み、その姿をなかなか人前には現しません。夜がふけると人目を忍びこっそりと集落や農地に出没します。
被害対策で林の縁の整備が重要なのは、農地までの隠れ処や移動ルートとなるヤブを失くして、イノシシに緊張感を持たせることにあります。
しかし、そんな臆病なイノシシも一度人への警戒心を解くと驚くほど大胆になっていきます。その変化はまさに劇的です。写真は、とある四国の山間地で目前に現れたイノシシ。人を人とも思わぬ堂々ぶりです。
人と野生動物の距離感は一朝一夕につくられるものではなく、動物の振る舞いを見れば長らく続くその地域の人と動物の関係が想像できます。緊張感のない付き合いの先に、箍(たが)のはずれた動物が市街地や農地にあふれ、人との軋轢が増していきます。
地域の野生動物と人との関係が健全であることを願ってやみません。
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