No.415 覆水盆に返らず
2022年10月18日
海老原寛
秋のいろは坂を通ったとき、「怖い」と感じたことがある。辺り一面がモミジの赤で満たされており、人はこれを美しいと言うだろうが、私にはとても大きな圧力に感じたのだ。赤や黄色や緑がモザイク状に入り交じった風景の方が、私は美しいと感じる。
でも、やはりスギヒノキ林は違う。パステルカラーのキャンバスにこぼしてしまった深緑は、あまりに異質である。濃い色を薄い色に戻すのはとても難しいだろう。
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