研究員によるフォトブログ

No.328 井の中の貂

2019年05月20日

岸本真弓 夕方、サルから身を隠すところを探して深さ3mほどの井戸をのぞいたらテンがいた(写真1)。 どうしてこんなことになったのか、彼(彼女)の名誉のために追求はやめておこう。 じっと見ていると、井戸の底にあった肥料袋の中に頭からもぞもぞ入っていった。その落ち着いたふるまいから、井戸の中の探検はかなり前に終了していたものと判断された。 出られないのだね。。。 残念なことに周囲に適当なものがなかったので、調査後少し離れたところから長い倒木を持ってきて、さしこんだ(写真2)。貂よ、天を仰げ、自由への架け橋だ。 翌朝、地…

「No.328 井の中の貂」の続きを読む>>

No.327 こんなところで

2019年05月10日

ペンネーム ぺんぎん 調査で各地を飛び回っていると、様々な特産品に巡り会えます。 ある時、目に入った箱わなを覗いてみると… 誘引餌にカニの殻が! これは日本海側のカニが特産な地域でした。 そして南のサツマイモが特産なとある地域では… 山盛りのサツマイモが餌として撒かれていました。 どちらも鳥獣被害が深刻な地域で目にしたものでした。 特産品をこんな形で目にするとは思いませんでしたが、 わな設置者の「どうにかして被害を減らしたい」という切実な想いが伝わってきます。

「No.327 こんなところで」の続きを読む>>

No.326 椿→鹿→狸?

2019年04月18日

岸本 真弓 先日三重県で車を走らせていると、道路上に足が落ちていた(写真1)。タヌキの足だ。 車を停めて周囲を見渡すと、道路脇にたくさんの毛とともにぺったんこになった体があった。交通事故にあったのだろう。不幸なタヌキの冥福を祈りながら少し車を進めると、今度は椿の落花にまみれたシカの死体があった(写真2;写真1の道路の奥に見える電信柱が写真2の中にある電信柱である)。 シカは椿の落花を食べる(写真3:動画の切り取りのため画質が悪い)。交通事故にあったシカをタヌキは食べる。そして轢かれてしまった。そんな図式が頭に浮かん…

「No.326 椿→鹿→狸?」の続きを読む>>

No.325 風呂場のオアシス

2019年04月05日

岸本真弓 イノシシやシカのヌタ場が日本庭園のように見えることがある。池に水をはっていることになるのでさしずめ「池泉庭園」だ。写真1は四国のある県のものだが、その姿は幻想的でさえある。ここまで大規模でなくても小さなオアシスがあるもの(写真2)や、風呂上がり、いやお風呂に入りながらの果実(それも高級果物ビワ))をいただける贅沢なもの(写真3)もある。それぞれ上手に出島を残してある。全体を愛で、体を擦ってプラントポットを磨き、美味を味わう。イノシシ、シカたち、ヌタうっているだけではないのかもしれない。   写真①    …

「No.325 風呂場のオアシス」の続きを読む>>

No.324 得意不得意

2019年03月22日

ペンネーム  ぺんぎん どこまで続くか分からない、地図上の道が途中で切れている林道を車で走っていた時のこと。 一緒に行動していた調査員(運転中)が突如ブレーキをかけた。 なんだ?と思っていると、興奮した様子で「カモシカがおる!」と言ったので、指を指した方向を見ると法面にカモシカが2頭いた。   丁度、法面を登っている最中のカモシカに遭遇したらしい。 でも様子がおかしい。 スタスタ登っていかない。 法面のど真ん中で立往生している。 カモシカ調査といえば、私たちはいつもハラハラドキドキしながら斜面を踏査している。 もち…

「No.324 得意不得意」の続きを読む>>

No.323 ギリギリセーフ? OR アウト?

2019年03月09日

岸本真弓   四国の山を歩いていて、タヌキのタメ糞にとても新鮮な下痢糞を見つけた。雨も降ってないし、夜露が降りる時期でもないのにまだ濡れている。さっきここに居たのかな? と、思わず周りをきょろきょろしてしまう。 ふと見ると、けもの道の続く1mほど先にも糞があった。ちょっと柔らかめ。トイレに間に合わなかったのだろうか。それともここならセーフなのか? タヌキに思いを馳せてみる。きっとセーフだ。 いや、それとも私の接近に気づいて、逃げ去る時の絞りだしかもしれない。なんだか申し訳ない気持ちになってきた。 &nbs…

「No.323 ギリギリセーフ?…」の続きを読む>>

NO.322 日本一の争いの終止符

2019年02月26日

近藤竜明   調査で関東周辺を回っていると、様々な場所から富士山が見える。この辺りでは「富士見」とつく地名が各地にあり、こんなところから富士山が観れるのかとびっくりすることがある。(たまに富士山ではなく、「◯◯富士」と呼ばれる富士山のような形の山を指していることもある気がするが…) 夏場は曇りがちで近くに行ってもいい富士山が見られることが少ないが、これからの時期は空気も澄んで非常に綺麗な富士山を拝むことができるようになる。下の写真は箱根からみたそれである。 ところで富士山の話をするとやれ静岡のものだの、山…

「NO.322 日本一の争いの終…」の続きを読む>>

NO.321 つけまつげとマスカラ

2019年02月20日

岸本真弓 2011年頃国連環境計画(UNEP)は地球上の真核生物の種数は約870万種であるという研究報告を発表したらしい。それによると動物が777万種、植物が29万8000種、菌類が61万10000種と推定されたとのこと。ヒトなんて1/8,700,000なのに、えらいのさばりようだな、という話ではない。 京都の山で不思議なものを見つけた。朽ち木の上でふわふわと風に吹かれている。 どうも胞子が飛んでいるようだ。   大国様(?)に一吹きしてもらうと   少し貧相な体が現れた。まるでマスカラをとった…

「NO.321 つけまつげとマス…」の続きを読む>>

No.320 クマフンに思いをはせる

2019年02月07日

ペンネーム ぺんぎん とある秋の晴れた日、ツキノワグマが多く生息している地域の山を調査中(シカ調査)のことでした。 ピーク手前の斜面を登りきり、ふと顔をあげると目の前に巨大なクマフンが現れました。 見えますか?赤丸のところに立派なクマフンが2つあります。 実はこの写真の画角外にもう1つ、同じ大きさのものがありました。 大きさは私の手を遥かに上回り、どれもしっかりとした一筆書きで排泄されたものでした。 木の枝で突っついてみるとまだ柔らかく、虫もついていませんでした。 木の実を沢山食べた後のフンなのでしょうか、嫌な臭い…

「No.320 クマフンに思いを…」の続きを読む>>

No.319 ミノムシ

2019年01月28日

岸本真弓 小学校の頃、見つけたミノムシを持ち帰り無情にも簑を剥いで、毛糸クズで簑を作らせたことがある。その後そのミノムシをどうしたか、無情にも覚えていない。 10月、鳥取の山でミノムシを見つけた。オトナになった私はネットでミノムシのことを調べてみた。 日本のミノムシは「オオミノガ」の幼虫であることが多いそうだ。オオミノガはオスは羽化して羽を持ち「蛾」の形態になるが、メスは一生ミノムシのままなのだそうだ。オスは簑の中のメスに、外側から細めた体を差し込んでメスと交尾して果てる。メスはその中で卵を産み、卵が孵化したら、簑…

「No.319 ミノムシ」の続きを読む>>

No.318 ど、どうやって

2019年01月19日

岸本真弓 山の中を走る林道を歩いていると、蜂箱をよく見かける。西洋ミツバチであったり、日本ミツバチであったりするが、いずれもハチミツをとるために置いてある。四国の山の中で、歩いている道からふと堰堤を見ると、蜂箱がたくさんならんでいた(写真1)。飛ばされないように石がたくさん載せられている。何度も石を抱えて運んだのかな? 結構な高さの堰堤だから高所恐怖症の私には無理だなと思う。  写真1 少し下流へ足を進め、ふと振り返ると・・・ ど、どうやって? あっちに運んだのだろうか・・・?  写真2  

「No.318 ど、どうやって」の続きを読む>>

No.317 前をいくもの

2019年01月08日

岸本真弓 自動撮影装置に写ったキツネ。珍しく2頭の歩み。3連写の間(写真1→写真2→写真3)、前を歩くキツネはカメラから目を離さない。わずか右前肢1歩分の時間とはいえ、見事だ。それにひきかえ、後を行く個体は前の個体の尻尾でも見ているのか、うつむき加減だ。 前を行くものには責任がある。道を決め、危険を回避し、求めるものへ進んで行く。気楽な歩みも楽しいが、そういう生き方が私は好きだ。   写真1 写真2 写真3

「No.317 前をいくもの」の続きを読む>>

No.316 ご馳走の穴

2018年12月28日

海田 明裕 雪の林道を歩いていると 少し先をネズミ(ヤチネズミ?)が横切ってすぐに姿が消えた。 ちょうどそのあたりの一点に妙に中型哺乳類の足跡が 集中しているのが目に入った。 足跡の主はタヌキとテン、とネズミ。 小さな段差を覗き込むが雪とのコントラストが強すぎて 暗い窪みの奥はよく見えない。 手を突っ込んでみる。 直径が指三本ほどの穴が空いていた。 入り口にはネズミ糞もしてあった。 食べ物をさがしてウロウロ林道を歩く 「ンッ!ご馳走の香り!」匂いに気づいてか、 元を辿って穴に誘われて鼻を突っ込む姿を想像する。 ふと…

「No.316 ご馳走の穴」の続きを読む>>

No.315 北陸のリョウブの樹皮

2018年12月20日

海老原 寛 北陸地方の山を歩いていた。北陸地方はまだシカの密度が低い場所が多く、植生が元気に繁茂している。下層から低木まで、近畿地方ではお目にかかれないような景色が続いていた。おかげで私たち調査員は歩きづらいわけで悲しくもあるが、やはりうれしくもある。 下層植生の繁茂もうれしいことではあるのだが、特に感動したのは、リョウブの樹皮が全く剥がれていないことである。シカは様々な種類の木の樹皮を剥ぐが、特にリョウブは大好きなように感じる。言い過ぎかもしれないが、私は樹皮が剥がれていないリョウブを見たことがないかもしれないほ…

「No.315 北陸のリョウブの…」の続きを読む>>

No.314 痛し痒し

2018年12月06日

岸本 真弓 秋、山を歩くと頭上も足下も赤や黄色の葉で覆われている。たまに樹皮も真っ黄色?! シカに角研ぎされた樹皮から黄色の樹液があふれでている。外来種キョンの大好物カクレミノ(隠蓑:樹木の種名)である。 カクレミノの樹液は、最初は透明らしく光沢もあり、実際黄漆として家具の塗料として使われていたという。そう、カクレミノの樹液にはウルシオールが含まれており、かぶれることもあるそうだ。そういうものに滅法弱い私なんぞは一発であろう。痛くも痒くもないシカにカクレミノは痛めつけられ、私は痒くされる。

「No.314 痛し痒し」の続きを読む>>

No.313 龍か和邇か、いえ烏です。

2018年11月26日

岸本真弓   1年前、山の中で見つけた。特徴的な樹皮だったので、すぐわかるかと思ったが、調べても調べてもわからなかった。 今年再び同じところを訪れた。雨だった昨年は空に続く幹や開く若芽をみることができなかったが、今年はできた。 和邇のようにも龍のようにも見えるこの体幹。正体は烏、カラスザンショウでした。 老木なのか、別の理由があるのか、図鑑通りのものばかりでない植物には困らせられる。惹きつけられる。   写真1   写真2   写真3  

「No.313 龍か和邇か、いえ…」の続きを読む>>

No.312 山と里を隔てるもの

2018年11月18日

海田明裕   その日の調査も終盤、そろそろ集落の気配がする山の裾。 急に腰丈ほどの古いけれども形の残っている石垣が現れた。 山裾に沿ってかなりの距離で続いている様子。   無理に乗り越えず通り易そうなところを探すうち、急に石垣が途切れた。 ちょうどその切れ目のところ(写真1中央)に ポッカリと、これまた崩れのないきれいなまんまるの石組みの穴が空いていた。 直径は1mあるかないか、深さは4メートルほどか。 手の使えない動物であれば容易には這い上がれない。   私の推測だがイノシシなどを追…

「No.312 山と里を隔てるも…」の続きを読む>>

NO.311 弱り目に祟り目

2018年11月07日

岸本真弓   2017年、秋の初めに大風が吹いた。 いつも歩く山の尾根もたくさんの枝が落ち、様相が例年とは異なった。 植林地では、一部に黄色を刺したみずみずしい緑のヒノキの葉が、深く濃い緑の葉をつけたスギの枝が無数に地面を埋めていた。   写真1   落葉広葉樹林では、幹の折れた若木が目立った。ようく見ると、折れ曲がった側の樹皮がない。 シカに食べられているのだ。 全周を剥がれてはいなくて、まだ水や養分が葉先と根を往来していただろうに。 強風に耐えられず倒れたのだろう。 シカに手折られ…

「NO.311 弱り目に祟り目」の続きを読む>>

No.310 光の呼ぶ方へ

2018年10月29日

海老原寛 調査地であるピークを目指す。山登りは楽しい。でもツライ。ここまでずっと急勾配が続いており、体力の余裕もなくなってきた。キツイ。周りの景色を見ていれば楽しい発見もあるかもしれないが、あいにく人工林が続いており、暗い林内では気も滅入ってくる。 そんなとき進むべき進路を見上げると、太陽が放射状に光を放っていた。それはまるで疲労困憊の私を応援しているかのようだった。 「ここがゴールだよ!あと少し!頑張れ!」 そんな声が聞こえた気がして、私は力を振り絞り、光を目指して歩みを進めた。その結果、ピークに辿りつくことがで…

「No.310 光の呼ぶ方へ」の続きを読む>>

No.309 街路樹の爪痕

2018年10月17日

海田明裕   とある商業施設の駐車場を歩いていると、ふと違和感を覚えて目がとまった。 街路樹の膝丈あたりのところの樹皮がバリバリにはげている。 よく見るとその木の他の部分や添え木にも細い爪痕が無数についている。最近のものから数年は経過して逆に盛り上がった傷になっているものもあった。 明らかにケモノの仕業。 しかし、そんなに美味しそうな実のなる木には見えない(帰って調べたらおそらくシマトネリコ)。     上を見ると実の代わりにセミの抜け殻がかなりの密度でぶら下がっている。写真では上手く写せなかったが、わた…

「No.309 街路樹の爪痕」の続きを読む>>

ページの先頭へ