研究員によるフォトブログ

No.297 山の(お)ことわり

2018年05月07日

岸本真弓 シカの糞塊密度調査のために山の尾根を歩いていて、前から数台の自転車がやってきて言葉を失ったことがある。都市に近く、少し進めば車道があったからなのか。 別の場所。春の山を歩いていて、生々しく樹木に書かれた「バイク走行禁止」の文字(写真1)。こんなところをバイクが走るのか? しばらく進むとまた看板があった。消防分団の「自然を大切に」の看板が哀しい(写真2)。 何が目的で山の中をバイクで走るのだろう。野には野の、山には山の理あり。山にしか生きられない無数の命を踏みにじらないでもらいたい。バイクなんて、山には「お…

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No.296 寄らば大樹の陰

2018年04月23日

岸本真弓 鳥取の山の中で見つけたスギの木。 耳を広げたマンモスの頭部のようだ。どういう出来事があればこのような形になるのか。 過去には倒木があったのか、一番の根元には円筒形の間隙があった。 そこは、様々な動物たちが身を寄せた痕がある。地表はしっかり締められ、心なしか中央部がより凹んだ丸い形に見える。雨を凌いだか、風を凌いだか、はたまた会いたくない相手から身を隠したか。木の命の長さだけ動物たちの営みがくりかえされる。 そんな木に私もそっと寄りかかってみる。触れた腰が、腕が、心なしか暖かく感じた。   

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No.295 常緑樹の落葉

2018年04月13日

岸本 真弓 4月、山を歩いていたらアラカシの葉がたくさん落ちていた。 風が強かったからもあるかもしれない。でも、時季的にも春はアラカシの落葉季なんだそうだ。 アラカシは常緑樹だ。しかし、当然のことながら常緑樹も落葉する。アラカシは2、3年に一度落葉するという。 日本の常緑樹は1~3年で落葉するものが多いらしい。熱帯では数ヶ月で、逆に寒い地のマツでは30年以上落葉しないものがあるとのこと。 常に緑を保っているように思う常緑樹だが、新旧交代の方法は様々で、徐々に入れ替わるものや一斉に入れ替わるものもあるらしい。アラカシ…

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No.294 人の利用(行く手を阻むもの8)

2018年04月04日

岸本真弓 これまでの「行く手を阻むもの」は自然あるいは、人の手が加わった後の姿であったが、今回の阻む「もの」は「者」。人そのものだ。写真1は松茸を採集するためにその権利のない人の侵入を拒む看板である。写真2はなぜ「入ってはいけん」のか具体的な理由は書いていないが、個人所有地だからか? このロープの中に入ったらいけないのであろう。写真2のように入ってはいけない場所がはっきりとロープがはってあればそこに入らないようにして進むことができるが、入ってはいけない境界がわからないと困ってしまう。 「困りました」、岸本関休場。 …

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No.293 展示場?

2018年03月21日

岸本真弓 調査で利用した宿の駐車場に並ぶ同じような車6台。私達の会社の車です。 このタイプの車が使い勝手が良いのです。  1) 細い道もOKで小回りが利く。  2) 荷物がたくさん載せられる。  3) 雨の日荷室のドアが屋根になる。 体の大きな人には疲れるようですが、私には問題ありません。どこでもなんでもこの車を走らせます。  

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No.292 木には角も生える?

2018年02月19日

岸本真弓 姜さんが、フォトブログNo.269で樹木の体内に生えた「牙」を紹介しています。そこで、私は「角」を紹介したいと思います。 「牙」と違い、「角」には様々なものがあります。「角」は主として頭部にある堅く突き出たもののことを言いますが、哺乳類の角は大きくわけて、頭蓋骨が変化したものと、そうではないものに大別されます。前者はウシ科の動物のものであり、牛やカモシカがそうです。後者にはまたいろいろなものがあり、シカのように毛皮を被ったコブが成長し骨化するものや、サイのように毛と角質の塊のようなケラチン質で出来ているも…

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No.291 自然のアーチ

2018年02月09日

南田 枝理子 調査で山を歩いていると、突如、目の前に曲がりくねった木が現れた。 まるで自然に形成されたアーチのようである。 どうして、このような形になったのか、本当に不思議である。このような自然の不思議を発見できると、少しうれしくなる。 思わず、この自然のアーチをくぐりたくなった。  

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No.290 せにはらにかえられる?

2018年01月26日

岸本真弓 フォトブログNo.281で紹介されているように、マンリョウ、(「万両」)はシカが好まない植物だ。万両だけでなく伊豆千両(イズセンリョウ)もシカが好まない植物だ。これも「銭」の臭いがするからか? ただ、シカも食べるものがなくなれば不嗜好性の植物へも手(口?)を出すことはよく知られている。 四国のあるところで、万両がシカに食べられていた(写真1)。また同じ県の別の場所で昨年(写真2)伐開地一面にひろがっていた伊豆千両が後退していた(写真3)。近づいて見るとシカに激しく食べられている(写真4)。 背に腹はかえら…

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No.289 天然のボトルガーデン

2017年12月25日

岸本真弓 9月、広葉樹の隙間から差し込む透き通った日差しが丁度あたるところに、瓶はあった。 汚れのない緑が美しい。中を覗くと苔も同居しているようだ。天然のボトルガーデン。どうやって入り込んだのかわからないが、やがて成長してボトルから飛び出していくだろう。こんな小さな世界におさまるはずがない。 ボトルガーデン、テラリウムは、実は世間で流行っているらしい。確かに美しい植物を育てるのは楽しいし、くつろいだ環境で間近に見るのは心癒やされると思う。しかし、やっぱり自然はもっとでっかいのである。汚れたって、ちぎれたっていいんだ…

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No.288 今晩の宿はこちらですか・・・?

2017年12月18日

南田枝理子 サルの群れをカウントするために群れを追跡していたところ、夕方になると群れの一部が工場団地に出没した。 工場団地に出没したサルたちは、工場団地の中の道路や工場の屋根を縦横無尽に歩いていた。さらには、電柱に登って、電線を綱渡りする者もいた。まるで無法地帯のようだった。 そして、日が暮れても彼らは工場団地から立ち去ろうとしない。なんと工場の屋根に30頭ほどのサルが滞在していた!彼らはそのまま工場で眠りにつくのだろうか。工場団地の電灯が明るくて眠りにくいことはないのだろうか・・・。驚くべき光景であった。 &nb…

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No.287 伐採木 (行く手を阻むもの7)

2017年12月05日

岸本真弓 シカの糞を探して尾根を歩く。だいぶ前から不穏な緑に目が行っていたが、そこまで到達するとそこには大量の木が横たわっていた。ヒノキの葉は青々とし、切り口からはヒノキの良い匂いが放散され、一帯に良い匂いが漂っている。「フィトンチッドがたっぷりだ」などと深呼吸をしている場合ではない。尾根を歩かなければ調査にならない。調査ができない場所は速やかに回避して、この先へ行かなくてはならない。 「参りました」、岸本関完敗。場外へ敗走。  

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No.286 木に登ったキツネ?

2017年11月21日

姜 兆文 山の調査中、奇妙な形にねじれた枯れ木を発見。そのねじれを木の根元から先端まで目で追って見ると、キツネが木に登ったように見えた(写真1)。近づいて見ると、枯れた木の先端部分が歳月を経て、風雨の侵蝕によって残った形であった(写真2)。皆さんにはこの形がキツネの顔に見えませんか。私には、左側の小さい突起が口鬚、下方に突き出しているのが顎と鬚、上方に尖っているのが耳、真中はまるい目……であるように見えた。枯れ残った幹と枝が天空を背景にして、ふとした角度でキツネのように見える。自然が作り出す偶然の造形の面白さだ。 …

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No.285 しし神様の最期の眠り(閲覧注意)

2017年11月11日

岸本真弓 春、鳥取の山でイノシシの痕跡調査をする。イノシシがいろいろな痕跡を残しているが、一番興奮するのが、寝跡(寝床)だ。せっせ、せっせと1本ずつか、数本ずつかのササを運び寝床を作っているのだろうが、あの体、あの口、で、どうやってこのようなものを作るのか。ここまでして苦労してつくった寝床、何日くらい使うのだろう。疑問と想像はつきない。 その日も尾根を歩いて行くと、高さ30cmほどで切り取られたササが目につきだした。「おっ、これは寝跡があるな」と期待しながら進む。ありました。りっぱな寝床が。 「?」いや、何か変だ。…

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No.284 鉄壁?

2017年11月02日

海老原 寛   サルの調査中、ある集落でしっかり囲われた畑を見つけた。その畑はワイヤーメッシュで囲われ、その上にはサル対策のためか電気柵が設置されている。さらにそれらの柵の外側にもう一重にワイヤーメッシュ柵が設置され、内側の柵と同様にワイヤーメッシュの上に電気柵が設置されている。さらにさらに、その2つの柵の間に犬が放し飼いにされているではありませんか!私が今まで見た中で一番厳重な柵かもしれません。これだけ柵にコストをかけるくらい、この地域の被害は大きいのでしょう。住民の方の熱意と執念を感じ、私たちも地域の…

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No.283 すでにいい具合の死骸( アブラコウモリ)

2017年10月19日

海田 明裕 「庭でコウモリが死んでいる。」 神戸市北区の自宅の庭にポツリと落ちていたらしい(発見者は家人) アブラコウモリ。 内臓と腹部 皮膚が一部無くなっているが その他はほぼ完全。 すでにカピカピに乾燥している。 アブラコウモリ然とした顔の様子が 全く遜色なく残っている。 剥製にすると折角の特徴がうまく再現されず なんとなく残念感が否めないものが多いコウモリ類だが この死骸、労せずしてとてもいい具合である。    

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No.282 奇跡と儚さ

2017年10月09日

海老原 寛 シカの調査で山の中を歩いていたところ、尾根上に突然ササが現れた。ササが占める面積は直径2m程度であり、ササ藪と呼べる広さではない。近くにササ藪があってそこから伸びてきたわけでもない。集落近くでもない。本当に突然、尾根上にササが現れたのである。ササは一般的に、地下茎を伸ばして専有面積を拡げていく。それでも何十年かに一度は花を咲かせ、種子を作るようである。そんな何十年かに一度作られた種子がこの尾根上に落ち、しっかりと成長しているのだろうか。また、不思議なことにこのササはとても窮屈そうに限られた範囲に密生して…

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No.281 価値観

2017年09月29日

海老原寛 シカが増加するとほとんどの植物が食べられ、森の地面が露出してしまう。ただし、シカは嫌いな植物は食べないので、その植物だけは地面に残る。この森も例に漏れずシカが多く、地面が露出してしまっているが、食べられずに残っている植物がいる。マンリョウである。 マンリョウは漢字で万両と書かれることもあり、お金を連想させる縁起のいい植物とされている。マンリョウがなぜ嫌われているのか理由はよくわからない。少なくとも、人にとっては縁起のいい植物なのに、シカにとっては価値がないようである。    

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No.280 死骸がいっぱいの緑の遊歩道

2017年09月20日

姜兆文  夏のある日、駅へ行く途中のことであった。八王子バイパス脇の緑の多い歩道を歩いていた時、大量のミミズの死骸(写真1)に出くわして、驚いた。  バイパスと歩道の間にはツツジの茂みがあり、歩道を挟んで向かい側は緑豊かな住宅地である(写真2)。ミミズは茂みから住宅地へ移動する途中、炎天下で死んでしまったのだろう。人間は快適に生活するために道路を作ったが、ミミズとしては、大変な迷惑だと思う。約3メートルの歩道は人間にとってはさして広くはないが、ミミズにとっては、大変な距離になる。また、このようなミミズの死骸を見かけ…

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No.279 気合いを入れすぎて

2017年09月11日

藏元武蔵 サルが道を渡り始めた(写真1)。 他のサルもぞくぞく渡りはじめたので、 「負けてたまるか!」と気合いのストレッチ。 その間に、全員に抜かれた・・・(写真2)。     写真1                        写真2          

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No.278 社有林というもの

2017年08月18日

岸本真弓 山を歩いていると、ごくたまに「社有林」の看板を見つける(写真1、写真2)。今回紹介したのはいずれも製紙会社の社有林の看板である。 写真1の会社をインターネットで調べてみると、「社有林の保全を通じて地球環境と地域社会への貢献を図っています」というキャッチフレーズが飛び込んでくる。この会社は紀伊半島を中心に社有林を擁している。もともとは他の製紙会社と同じく、第二次世界大戦の戦中戦後に原料素材の確保のため社有林を確保してきたようだが、その後の時代の変化に応じて、現在ではスギ・ヒノキの人工林経営と広葉樹天然林の再…

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