研究員によるフォトブログ

No.436 尾瀬の春の異変

2023年09月14日

姜 2013年に調査の為に尾瀬ヶ原を訪れ始めてから11年が経つ中で、今回初めてゴールデンウイークに訪れました。5月3日にもかかわらず尾瀬ヶ原の湿原にはほとんど雪が残っておらず(写真1、2)、今までに無く雪解けが早いことに驚きました。 尾瀬を訪れた他の人々は、この時期に水芭蕉(写真3)を見ることができ嬉しかったと思いますが、私はこのような早い時期に水芭蕉を見られたことに、とても不安を感じました。 雪解けが異常に早いのは、各年の気象条件の違い(例えば冬季の積雪量など)によるものもあるかもしれませんが、私自身、11年前か…

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No.435 心躍る瞬間

2023年08月23日

中島彩季 シカの糞塊密度調査中に見つけたもの。 ルート上に落ちていたシカ糞を良ーく見ると、イガグリの棘に刺さっていた。 ちょっと心が躍った。 イガグリの棘は地面に手をついた時に手に刺さることがあるが、非常に痛い。 シカ糞が刺さっている様子を見て、改めてその鋭利さを実感した。 山を歩いていると、こうした面白いものを発見することが度々ある。 野外調査の楽しみのひとつである。

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No.434 恐竜の卵化石ではなかった!

2023年08月09日

先日、No.412で「恐竜の卵化石を発見!」を報告したが、恐竜化石の専門家に確認してもらったところ、残念な結果となってしまった。その主たる根拠は、卵の「殻」に見える部分の厚さが一定ではない事(写真1、2、No.412の写真も参照)であった。恐竜の卵化石の殻の厚さは、肉眼では僅かな違いを見分けるのが困難な程、どこを取っても大きく変わらないそうだ。 この正体は岩石が玉ねぎの薄皮のようにはがれる、「風化」の一種であった。岩石の表面と岩石内部の膨張量の差による歪みによって、割れ目が生じる。さらに岩石に染み込んだ水や日光によ…

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No.433 尾瀬での休日

2023年08月09日

WMOでは尾瀬ヶ原や尾瀬沼でも仕事をしています。 繁忙期には数週間にわたって尾瀬に泊まり込むことも珍しくありません。 そんな折、週末の2日間だけ東京に帰る代わりに、現地でお休みをもらうことにしました。 天気も良かったので東北地方最高峰の燧ヶ岳に登ってきました。 仕事で歩き回る尾瀬ヶ原も尾瀬沼も一望でした。「あの林、林床はササばかりで歩くの大変なんだよな・・・」「あそこはシカ見たところだ」とか思いつつも、最後は「やっぱり綺麗だ・・・」と見とれてしまいます。   燧ヶ岳   燧ヶ岳から見た尾瀬沼 &…

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No.432 誘拐犯に注意

2023年07月20日

岸本真弓   調査中ではないです。朝、出勤前に自宅の前の道を歩いていたらかわいいコシアカツバメがうずくまっていました(写真1)。手が触れそうなくらい近づいても動きません。よく見ると産毛がまだあって、どうやら巣立ちビナのようです。 こんなところにいたら急ぎ足の人に踏まれるか、保護という名の誘拐にあってしまうよ。 鞄でチョイチョイっとおっ立てて生け垣の方に寄せてあげました。あとはお母さんにお任せです(写真2)。 写真1 写真2

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No.431 都庁登庁?

2023年07月13日

森洋佑 フォトブログを見ていると、WMOの職員はみんな山ばかりに行っているように思えてしまいますね。実は山だけでなく都会へ行くこともあるのです。 写真は書類を届けに新宿の都庁に行ったとき、お使いが早く終わったので最上階の展望室に行って撮りました。 都心の街並みから富士山まで一望することができました。 都庁展望室からの眺め 丹沢山地や関東山地の後ろに富士山が見える。 真下を見てみました。公園に都庁の影が映っていました。

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No.430 高嶺の首輪

2023年06月30日

ペンネーム:ユージ 先日の宮城県でのクマの首輪探索中 ずっと近くで探索音がしてるのに見つからない、、、 当たりの地面をイノシシのように、落ち葉をかき分け探しまくり、諦めかけたところ 再度アンテナを振ってみると、上の方が強いような気がー (⇩この中にあります!)             正解は写真中央付近。そんなとこにどうして、、、 同じブナの木にはクマの登った跡が! モグモグとブナの実を採食中に木の上で外れてしまったのか。僕がクマなら相当ビビる、、、

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No.429 気まぐれな木

2023年06月14日

ペンネーム:たぬぞう 調査の帰りに変わった形の木を見つけました。 なぜ彼が(彼女か?)こうなったのか、まったく見当つきませんが、私はなんだか「絶対生き延びてやる!」という不屈の精神を感じた気がしました。 とまあ、自然の中にあるいろいろな不思議に出会う度に、なんでこうなったのだろうなんて妄想して楽しむのですが、むしろ不思議に見えているのは自分だけで、これは当たり前の姿だったりするのかなとも思います。いつだって自分が見えているものは、自分のフィルターを通してしか見ていないのだと、たまに立ち止まって思い出すようにはしてい…

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No.428 丹沢山の怪物?

2023年05月22日

森洋佑 みなさんは「ブロッケン山の怪物」を知っていますか? 山を登っていると霞の中に怪物が現れるという現象です。 手塚治虫の漫画『ブッダ』ではサーリプッタとモッガラーナが弟子を説く場面で登場します。そこでは怪物ではなく、畏敬の存在として描かれます。 先日、丹沢山でシカを追いかけているときにそんな現象に出会いました。ブロッケン現象は、ときどき見ることはあっても、自分の腕を動かしたら霞の中の私も動くくらいはっきり見えたのは初めてでした。 さて、このブロッケン現象、みなさんは怪物だと思いますか、それとも畏敬の念を抱きます…

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No.427 ホールインワン、下から上へ

2023年05月22日

海田明裕 フォトブログNo.384 、398でふれられた、森の中のホールインワンですが、今回は下からのホールインワンです。 比較的地面ばかりみて歩く種類の調査中。あまり使われなくなった登山道がササに覆われかけているような場所を歩いていました。 視界のほとんどが緑色ばかりのなかで、茶色が目につきます。 はじめはなにかキノコの類かと思いましたが、どうも薄っぺらい。 近づくと、それは虫食い穴をササに貫かれ、宙に持ち上げられた落ち葉でした。 死ぬほど落ちている落ち葉と、そこいらじゅうに生え出てくるササの芽であろうから、そん…

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No.426 春きたる2

2023年05月12日

森洋佑 「そろそろかな」と思いながら見てきました。春、来ていました。 私の通勤経路に片倉城址公園があります。そこは知る人ぞ知るヤマブキソウのお花畑があるところです。「そろそろかな」と思いつつ、30分ほど早く家を出て寄り道してみました。 春、来ていました。見とれてしまうくらいきれいでした。 満開のヤマブキソウ 片倉城址公園はヤマブキソウだけでなく多くの花が咲くところです。カタクリはもう花期が終わって果実になっていましたが、イチリンソウやニリンソウはちょうど良い時期です。緑色の花で目立たないですがナツトウダイも咲いてい…

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No.425 春きたる1

2023年05月12日

森洋佑 年度末が終わり、3月下旬から4月上旬は少し余裕のある時期です。お昼の時間にもうちょっと遠くまで足を伸ばすこともできます。 この日も陽気に誘われて歩いていたら、本社裏手の土手のソメイヨシノがとてもきれいに咲いていました。土手には胞子を出し終わったツクシも。 サクラは今が大忙し、ツクシは私と同じく一仕事終えた感じでしょうか。 土手の上のソメイヨシノ 土手のツクシ

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No.424 丸い石は数千万年前の地層の証明

2023年05月11日

姜 ニホンジカの調査のため、山の稜線に沿って登っていく。平坦な場所に出て、麓の集落を見ると、その向こうに美しい富士山が見えた(写真1)。 富士山を見た瞬間、ふと今登っている山が昨日調査した青木ヶ原樹海周辺より数千万年古いことを思い出した。 青木ヶ原樹海は864年から866年にかけての貞観噴火で噴出した溶岩の上にできた1,300年未満の地層の上にできた森である。一方、私の足元の山は第三紀(6,500万年から170万年前)の天子山地の一部であり、長い年月をかけて北米プレートとフィリピン海プレートの衝突によって隆起した古…

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No.423 アオダイショウの威嚇

2023年04月28日

岸本真弓   山を歩いていたら左足後方からシュッといきなりアオダイショウが現れた。痕跡を探してゆっくり歩く私より、早いスピードで私の目の前にでてきた。びっくりしてじっと見ていると、動かないので、珍しいと思い写真をとった。全体像を取りたくて、蛇の左側に少し離れて撮影したり、観察した。逃げないのは珍しいなあと思っていた。(写真のログによると)2分くらい私はじっと蛇を見ていたようだ。 そして、違和感が・・・ 蛇がでかく(太く)なっている! アオダイショウの体幅は1.5~2倍になっている。そのまま撮影を続けている…

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No.422 箱根の金時山と富士山

2023年04月12日

森洋佑 調査で金時山に行ってきました。手前の明神ヶ岳の辺りにも調査地点があったので金時山までの往復になったのですがずいぶん疲れました。次回は行程を考えて片道コースにした方が良さそうです。 キュッと盛り上がった山頂部を持つ金時山は希少な植物の宝庫になっています。すぐ下のなだらかな斜面にはシカが入っていますが、ドーム状の山頂にはまだ来ていないようでした。 忙しくドタバタしているときに、こういった広がりのある景色を見ると少し心が軽くなります。そのまま体重も軽くなり、フットワークも軽くなり、また山に行きたいな、と感じます。

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No.421 理解と感情

2023年04月05日

海老原寛 私たちWMOの使命の一つは、鳥獣被害の解消である。でもそれは、鳥獣の根絶とはイコールではない。時には捕獲も必要だが、人と自然の折り合いをつけることが本当のゴールであると考え、その実現のためには努力を惜しまない。 この日は調査中に出会った住民と、鳥獣との付き合い方について随分長く立ち話をした。好意的に聞いてくれていたので私の舌もよく回ったが、最後に「全部いなくなれば解決するのにね」と言われてしまった。笑って別れた後に見上げた空は、とても寂しく見えた。

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No.420 山にネッシーがいた

2023年03月23日

ペンネーム:ぺんぎん 山では見方によって姿を変えるもので溢れている。 枝打ちされていない植林が千手観音像のように見えたり、 地表を這うように伸びている根っこと幹が巨大なワニのように見えたり。。 今日はなんと石に乗って天を見上げるネッシーに出会った。

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No.419 自然にできた陶芸品

2023年02月01日

ペンネーム:ぺんぎん イノシシにこすられて、こすられて、こすられまくった木。 元々何が原因で幹が折れてしまったのかは分からないが、折れた当初は切り口の断面はささくれの様にざらざらしていたはずである。 それが、まるでやすりでやすったかの様に、こんなに滑らかになってしまった。 しかも波打つような模様が浮き出ていて、なかなかおしゃれである。

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No.418 赤肉石

2023年01月16日

岸本真弓 2年前に初めて歩いた山で見つけて勝手に「赤肉石」と名付けた。写真だとわかりにくいのだが、本当に肉のようなのだ。白い筋があるところが、筋膜のような、細い血管のような、脂肪のような。 最近地質の勉強をしているという同僚に聞くと、チャートじゃないかとのこと。少し調べると赤チャートというものがあるらしい。この石たちがそうなのか、どうかわからないが、本当に肉そっくり。私には赤肉石という名がしっくりくる。

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No.417 ビームライトを持つシカ

2022年12月15日

姜 自動撮影カメラ(動物の熱や動きを感知して、自動的に撮影するセンサー付きカメラ)を使って、シカのモニタリング調査を実施した。回収した写真を確認したところ、目から強いビームライトを放っているようなシカを発見し、驚いた。写真をよく見ると、同じようなシカが奥にもう1頭いた。 どうしてビームライトを放っているような写真が撮れたのだろうかと興味深かった。 写真下部の撮影情報によると、この写真は2020年11月21日午前3時9分29秒に撮影され、その時の気温は18.8度、月齢は約3日の新月だった。気象庁の過去の気象データを検…

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