No.424 丸い石は数千万年前の地層の証明
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姜 ニホンジカの調査のため、山の稜線に沿って登っていく。平坦な場所に出て、麓の集落を見ると、その向こうに美しい富士山が見えた(写真1)。 富士山を見た瞬間、ふと今登っている山が昨日調査した青木ヶ原樹海周辺より数千万年古いことを思い出した。 青木ヶ原樹海は864年から866年にかけての貞観噴火で噴出した溶岩の上にできた1,300年未満の地層の上にできた森である。一方、私の足元の山は第三紀(6,500万年から170万年前)の天子山地の一部であり、長い年月をかけて北米プレートとフィリピン海プレートの衝突によって隆起した古…
No.423 アオダイショウの威嚇
岸本真弓 山を歩いていたら左足後方からシュッといきなりアオダイショウが現れた。痕跡を探してゆっくり歩く私より、早いスピードで私の目の前にでてきた。びっくりしてじっと見ていると、動かないので、珍しいと思い写真をとった。全体像を取りたくて、蛇の左側に少し離れて撮影したり、観察した。逃げないのは珍しいなあと思っていた。(写真のログによると)2分くらい私はじっと蛇を見ていたようだ。 そして、違和感が・・・ 蛇がでかく(太く)なっている! アオダイショウの体幅は1.5~2倍になっている。そのまま撮影を続けている…
No.422 箱根の金時山と富士山
森洋佑 調査で金時山に行ってきました。手前の明神ヶ岳の辺りにも調査地点があったので金時山までの往復になったのですがずいぶん疲れました。次回は行程を考えて片道コースにした方が良さそうです。 キュッと盛り上がった山頂部を持つ金時山は希少な植物の宝庫になっています。すぐ下のなだらかな斜面にはシカが入っていますが、ドーム状の山頂にはまだ来ていないようでした。 忙しくドタバタしているときに、こういった広がりのある景色を見ると少し心が軽くなります。そのまま体重も軽くなり、フットワークも軽くなり、また山に行きたいな、と感じます。
No.421 理解と感情
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海老原寛 私たちWMOの使命の一つは、鳥獣被害の解消である。でもそれは、鳥獣の根絶とはイコールではない。時には捕獲も必要だが、人と自然の折り合いをつけることが本当のゴールであると考え、その実現のためには努力を惜しまない。 この日は調査中に出会った住民と、鳥獣との付き合い方について随分長く立ち話をした。好意的に聞いてくれていたので私の舌もよく回ったが、最後に「全部いなくなれば解決するのにね」と言われてしまった。笑って別れた後に見上げた空は、とても寂しく見えた。
No.420 山にネッシーがいた
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ペンネーム:ぺんぎん 山では見方によって姿を変えるもので溢れている。 枝打ちされていない植林が千手観音像のように見えたり、 地表を這うように伸びている根っこと幹が巨大なワニのように見えたり。。 今日はなんと石に乗って天を見上げるネッシーに出会った。
No.419 自然にできた陶芸品
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ペンネーム:ぺんぎん イノシシにこすられて、こすられて、こすられまくった木。 元々何が原因で幹が折れてしまったのかは分からないが、折れた当初は切り口の断面はささくれの様にざらざらしていたはずである。 それが、まるでやすりでやすったかの様に、こんなに滑らかになってしまった。 しかも波打つような模様が浮き出ていて、なかなかおしゃれである。
No.418 赤肉石
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岸本真弓 2年前に初めて歩いた山で見つけて勝手に「赤肉石」と名付けた。写真だとわかりにくいのだが、本当に肉のようなのだ。白い筋があるところが、筋膜のような、細い血管のような、脂肪のような。 最近地質の勉強をしているという同僚に聞くと、チャートじゃないかとのこと。少し調べると赤チャートというものがあるらしい。この石たちがそうなのか、どうかわからないが、本当に肉そっくり。私には赤肉石という名がしっくりくる。
No.417 ビームライトを持つシカ
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姜 自動撮影カメラ(動物の熱や動きを感知して、自動的に撮影するセンサー付きカメラ)を使って、シカのモニタリング調査を実施した。回収した写真を確認したところ、目から強いビームライトを放っているようなシカを発見し、驚いた。写真をよく見ると、同じようなシカが奥にもう1頭いた。 どうしてビームライトを放っているような写真が撮れたのだろうかと興味深かった。 写真下部の撮影情報によると、この写真は2020年11月21日午前3時9分29秒に撮影され、その時の気温は18.8度、月齢は約3日の新月だった。気象庁の過去の気象データを検…
No.416 紅葉
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森洋佑 写真が上手くなりたいな、と頭の片隅で思いつつも勉強しないので数撃てば当たる方式でパシャパシャ×1000回くらい撮っています。そのくらい撮ると、1枚くらい当たりがあるようです。 写真は尾瀬への道すがら、戸倉から鳩待峠のあいだで撮ったヤマモミジです。雨に濡れて光っているのがまた艶やかです。ちなみにこの日、山頂付近は雪になっていました。
No.415 覆水盆に返らず
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海老原寛 秋のいろは坂を通ったとき、「怖い」と感じたことがある。辺り一面がモミジの赤で満たされており、人はこれを美しいと言うだろうが、私にはとても大きな圧力に感じたのだ。赤や黄色や緑がモザイク状に入り交じった風景の方が、私は美しいと感じる。 でも、やはりスギヒノキ林は違う。パステルカラーのキャンバスにこぼしてしまった深緑は、あまりに異質である。濃い色を薄い色に戻すのはとても難しいだろう。
No.414 よくばりな痕跡
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ペンネーム:ぺんぎん この木についた痕跡、3つありますが、何か分かりますか? <クマの爪痕> 正解です! この大きさは成獣でしょうかね。綺麗に爪痕が幹に刻まれています。 一番高いところに見える爪痕が長く伸びているところをみると、ツルツルしていて登りにくかったのでしょうか。 <イノシシのヌタ場> 正解です! 結構気に入っているのでしょうか。 幹全体に泥が付いていますし、ヌタ場の足跡もなかなかフレッシュなものでした。 最後、分かりますか…
No.413 ため糞山脈
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岸本真弓 すでに気づかれているとは思うが、タヌキ好きが高じてため糞も好きだ。いろいろなタメ糞に遭遇してきた。その中で、私が珍奇なため糞と思っているもののひとつを紹介したい。 場所は紀伊半島。季節は初冬。 細い尾根上を樹木を回り込みながら5m以上続く。こんもりとした山がいくつもいくつも続く。まさに、ため糞山脈。 山脈をつくりだすひとつひとつの山の所有は個狸か? それともすべてが多狸数の合作か? ため糞山脈の謎は深い。 山脈の始まり(杖は全長130cm) 曲がった先にもまだ続く ため糞山に目を寄せると、向こうの山…
No.412 恐竜の卵の化石を発見!
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姜兆文 数人の調査員が同時に入山し、無線かラインで連絡しながら別々に二ホンジカの糞塊調査を行った。糞塊調査とは、山の尾根を歩きながら、シカの糞の塊を確認して数えることで、シカの生息密度を把握する方法である。 標高700メートルくらいまで登っていくと、突然、楕円体の石が目に入ってきた(写真1,2)。卵の殻のようなものが剥がれたので(写真3、4)、見つけた瞬間、『これは恐竜の卵ではないか!』と思った。 そこで調査員のライングループに「恐竜の卵を見つけた!」と報告すると、「マジっすか!目玉焼きにしましょう!」と返事が返っ…
No.411 キンコウカ満開
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森洋佑 尾瀬沼に行ってきました。シカの業務では調査地周辺を踏査して、シカの痕跡が多い場所を探すという仕事もあります。湿原を見ていると、ポツポツとシカの寝床があることが分かります。もちろん、それは記録に残すのですが、、、 写真1 草原に残るシカの寝床 今年はキンコウカが満開でした。しばし痕跡調査を忘れて見とれてしまいます。 写真2 咲き誇るキンコウカ 写真3 沼尻の木道から見たキンコウカの黄色カーペット
No.410 牛山羊羊馬鹿
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海老原寛 獣害防止のために、農地周辺の「下刈り」をしましょうとはいいつつ、やっぱり労力は大きい。そこで最近、ヤギやウシに草刈りをしてもらう「舌刈り」活動が増えている。地域を回っていると、私もヤギやウシやヒツジをときどき見かけるが、どいつが一番舌刈り効果的なのだろう?ちょこっと調べてみると、ウシは木本の葉を食べないために、残ってしまう木が多いらしい。その意味では、木の葉を食べる上に樹皮まで食べて枯らせてしまうヤギの方が、全体の草量は減るらしい。ただ、ウシの方が踏み荒らしによるワラビなどの不嗜好性植物を減少させる効果は…
No.409 親の心・・・
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親の心・・・ 森洋佑 このフォトブログは外勤の写真が多いですが、内勤時の生態についても紹介できたらと思い投稿します。 最近、内勤が中心になるときはお昼休憩に事務所周辺のテイクアウト弁当を探し歩くことが日課になっています。 そんな折、キョロキョロしながら歩いていたらカラスのコッコに出会いました。 もう巣立ちしているみたいです。コッコは飛ぶのが億劫なのか私が近くにいても地上をテケテケあるいてエサを探していました。すぐ隣には親鳥が張り付いて警戒の鳴き声を発しています。親の心、子知らずですね。 写真1 やっとコッコが飛び立…
No.408 エビネに出会う
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森 洋佑 WMOでは新入社員が安全に山を歩けるように、毎年春に山歩き&地図読み実習を実施しています。その中で山歩きのコツやコンパスの使い方をレクチャーします。 今年は私もコーチ役として地図読み実習に参加しました。 写真1 地形を読みながらコンパスを合わせる ほんらい、業務で山を歩くのは秋以降が多いので、春のこの時期に山に入ると行き慣れた山でも全く違った景色が見られます。 今日はエビネの花を見つけました。 写真2 2株並んだ大きなエビネ エビネはランの一種で、神奈川県では絶滅危惧Ⅱ類になっています。確かに数は少ないの…
No.407 『わに』~同じ視点・感点のうれしさ~
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岸本真弓 ぺんぎんさんの『No.406 山にワニがいた』は私の『No.313 龍か和邇か、いえ烏です。』と同じものを見たブログです。同じルートを、目的を変え、年を変えて歩くので、こういうことがおこります。 No.406ペンギンさんの写真 No.313の写真 同じルートを歩いた人が全て同じものに気づいて、同じようにびっくりして、同じように感じるかはわかりません。でも、そういう人が同じ会社にいるってこと、とても嬉しく思うのです。
No.406 山にワニがいた
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ペンネーム ぺんぎん この日もいつものように痕跡調査で山を歩いていたところ、ふと目線を上げたらギョッとした。 思わず「ひっ」と声が出てしまった。 巨大なワニ?! 左に延びる細い根っこがまるで前肢のようだ。 なによりコルク状にボコボコした表面がワニの皮膚のようで妙にリアルである。 にゅっと伸びている感じも胴体のようだ。 しかも何だかお腹が膨れているようにも見える。 そういえば、いつだったか大阪市立自然史博物館に遊びに行った時に立ち寄った太古の生き物の展示コーナーで、かつて大阪にもナウマンゾウがいたということを知ってと…
No.405 雪の木陰
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海田明裕 重いザックを背負い冬の山中、吐く息は白い。 動いていないとつま先が痛い。 早朝に雪がちらつき林内にもうっすら雪が残っていた。 ただすぐにやんだようで今はつかの間、葉の落ちた林に日が差している。 ちょっと不思議な曲線が目にとまった。 木陰の部分だけに雪が残り、あとは太陽の熱ですでに溶けて落ち葉が見えている。 木の幹の形に雪が残り、雪でできた木陰にみえた。 30分後、再び通過したらもうあれほどには形が残っていませんでした。 はかない景色。