No.404 美しい季節外れ
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姜兆文 山でのシカの調査を終え、仲間と下山する途中、美しい紅葉を目にした(写真1)。12月23日というクリスマスイブ前日の遅い時期にもかかわらず、この場所で、こんなにきれいな紅葉を見ることができるなんて!と、嬉しかった。 だが、この季節外れの鮮やかで美しい紅葉を見たことで、世界中で気温の上昇、集中豪雨、記録的な大雪、更に12月12日にアメリカ南部を襲った巨大ハリケーンなど一連の異常気象による甚大な自然災害をもたらしたことが思い出された。 そして、この美しい季節外れた紅葉の裏に自然が人間の環境破壊に対す…
No.403 冬の富士山
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森洋佑 晩秋から初冬にかけて、糞塊密度調査の季節ですね。雪が降ってしまうと調査できなくなってしまうので、それまでの勝負です。 キンと冷えた早朝、まだ月の光が残る中、調査地に向かいます。富士山山頂では強い風が吹いているようで雪が舞って雲のようになっています。 今日みたいに朝冷えるときは、日中は綺麗に晴れることが多いです。今日のコースは箱根外輪山の稜線歩きコースでした。ずっと右手に富士山を見ながらの糞塊密度調査。贅沢だなぁ、、、と思いながら歩いていました。
No.402 WMOの社窓から ~冬~
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岸本真弓 今日は暖かく、湿度が高い。朝は霧が重く垂れ込めイネ科草本の枯れ葉の赤みが湿気で深くなっている(写真1)。 目を移せば、今年は川沿いの畝で冬葉物野菜がもっさり実っている(写真2)。春野菜は真ん中あたりで準備中(写真3)。いつも仲良く熱心なこの畑のご夫婦、今はいらっしゃらないようだ。 関西支社のある部屋からの風景です。 写真1 写真2 写真3
No.401 大きなシカ
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久門 美月 山によく行くので、普通の人よりは野生動物を目にすることが多い。 とある日、林道を運転していると、とても大きなシカがいた。 …?張りぼてのシカ? 何の目的で作られたのか全く分からないが、突然出てきたので驚いた。 眼は怖いが、花柄のスカートをはいていた。
No.400 森の住人
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中島 彩季 調査中ふと足元に目をやると、ひっそり佇んでこちらを見上げていた。 何頭ものシカに出会ったが、もしかしたらあの神様もいたのかもしれない。そう思うとちょっとワクワクした。 (※よく見たらキノコでした)
No.399 季節の錯綜だ!
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姜兆文 蜻蛉、蝶々!木の春芽!!同じ日に次々と目にし、これは季節の錯綜だ。 2021年1月16日午後1時頃、住宅地を散歩した際の出来事だ。予想気温は19℃とされていたが、実際の気温は20℃を超えたと思う。ぽかぽか陽気の中散策していた人が多かった。 散策中、突然青色の小さい蜻蛉を目にし、その後黄色い蝶々が舞っていたことに驚いた。ふと木の枝を見ると、そこには春芽が!(写真1-1、蜻蛉と蝶々の写真が撮れなくて残念だ)。 前日、最低気温が氷点下4℃だったので、人はまだ冬の最中と認識しているが、動物たちは春の到…
No.398 私も見たホールインワン
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岸本真弓 フォトブログNo.384 で紹介されたホールインワンを私も今春に見つけた。「奇跡」だなと思った。フォトブログを書こうと取り置いていた写真を紹介する。 最近学会とシンポジウムで立て続けに聞いたJanzen-Connell仮説。母樹の真下では捕食者や特異な病原体など更新の妨げになるものが多いため、離れたところの方が実生の育つ確率が高く、結果的に成木の下では他種の成長が促進され多様性が生まれるという。 この実生の種は私にはわからないが、おそらく風によって種が運ばれる種なのであろう。ホールインワンした種子は母樹下…
No.397 激チャ
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森洋佑 このフォトブログは野外調査時の写真が多いですが、内勤時の生態についても紹介できたらと思い投稿します。 「自転車」の呼び名は地域によって違うみたいです。私の地元では「チャリ」や「チャリキ」と呼ばれていました。 岐阜の友人に聞いたら「ケッタ」や「ケッタマシーン」と呼ぶらしいです。 きっとまだまだユニークな呼び名があることでしょう。呼び名が沢山あるということは、それぞれの地域に根ざした移動手段になっているということが伺えますね。 私は雨が降っていないときは自転車で通勤しています。のんびりな性格なので出発が時間ギリ…
No.396 咄嗟の枝
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海田明裕 今までも目にしていたのかもしれないが 先日初めて気が付いたことがある。 調査中脇を通り過ぎようとしたソヨゴの幹から、やたらにたくさんの細い枝が伸びていた。 その辺りはシカの比較的多い地域で、付近の樹皮にはシカによる樹皮食いの痕跡がわりと目立っていた。 その細い枝は樹皮食いのすぐ下の部分から上に向かって何本もが伸びていて、まるで樹皮食いを受けた部分をガードしているかのように見えた。ちょっとアメフトのヘルメットのガードっぽい感じに思えた。 しかし、偶然に細い枝の出る部分の上が樹皮食いにあっただけかもしれないと…
No.395 野良猫の野生証明
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姜兆文 ある日、偶然に野良猫同士が激しく争っている場面を目にした。これは野良猫の遺伝的な野性の証明だと思った。 争う時間が長く、勝負を決められず、大変な戦いであった!二頭の対峙状態と地面に散乱した白猫の毛でその惨烈さが分かる。 だが、本来、自然下の野生動物は様々な方法で生死をかけた直接対決をできる限り避けるが、本日の長時間で惨烈な対決はある意味本当の野性の一部は失われたのかもしれないとも思われた。
No.394 重なれない、わけがある
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森 洋佑 植物は葉っぱで太陽の光を受けて、光合成してエネルギーを得ている。ということは多くの人が知っていると思います。 そんな特徴がある植物なので、その形も光を受けるのに最適な形になっています。 写真1 オオシラビソの稚樹(横からみたところ) 写真1はオオシラビソの稚樹。頂端が潰れたようなお盆のような形をしています。 スギやヒノキで見慣れた針葉樹に特徴的な円錐形の形ではありません。 ただ、オオシラビソも成長すると先の尖った円錐形の樹形になります。 写真1の稚樹を上から見てみましょう(写真2)。みごとに少しの隙間もな…
No.393 植物の運び屋
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中島彩季 クマ糞(だったもの)からビワの種が発芽していた。 これはビワ園の横で見つけたものだが、クマが“植物の運び屋”である一面を垣間見ることができた。
No.392 サル研修
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久門 美月 関西支社に入社した新入社員は、ニホンザルの性年齢判別の能力も身に着けるために、毎年ニホンザルのエキスパートとサルを1日観察するという研修があります。私は昨年度入社ですが、性年齢判別の能力をより向上させたいので、今年も参加してきました。 普段より近い距離でサルをたくさん見られました。きっと1日でレベルアップしたはず…! 写真1 研修風景 写真2 今年生まれの赤ちゃんとお母さん
No.391 植物は生き物だ~死がふたりを分かつまで~
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岸本真弓 傷つき体を沿わしたのはブナの方。 ブナの傷は風に煽られたヒメシャラによるものなのかもしれないけれど、傷を癒しやすようにヒメシャラは滑らかな肌を貸している。そして今はそれぞれの未来にむかって生きている。しっかり支え合いながら。 ブナはいつ、どのくらいの樹齢の時に傷ついたのか。ヒメシャラはいつからブナを見守っていたのだろう。成長速度に差はあるかもしれないが、植物のタイムスケールならば、幼なじみといえるのではないだろうか。ほぼ同じ背丈に育ったブナとヒメシャラ。死がふたりを分かつまで、共に生きる。
No.390 小さな箱庭
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海田明裕 調査終わりに林縁部を歩いていると、古びた金属の円盤状のものが目に留まった。 おそらく放置されて錆だらけになり、穴の開いた蚊取り線香入れだと思われます。 中が妙に緑なのが気になり覗いてみた。 予想以上に綺麗! 地衣類とコケ類が中で育って広がっているようだけれど なんともいい趣がある(と私は思う)。 おしゃれなお店で売っていそうな。 持って帰りたいとも思ったが(ゴミだし)このもろい蚊取り線香入れが ザックの中で形をとどめていられるとは思えなかったのでやめておいた。 放置されたゴミなことに違いはないですが それ…
No.389 タヌキに遭遇
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森洋佑 このフォトブログは野外調査時の写真が多いですが、内勤時の生態についても紹介できたらと思い投稿します。 自分の生活圏の状況を把握しないと落ち着けない質ということもあり、お昼休憩の時間に事務所周辺をフラフラ歩く習性があります。 今日も事務所から100mくらいのところを歩いていたのですが、、、側溝の先からカサカサと音がします。「ん?」と思ってカメラを構えて待っていたらフサフサの毛並みのタヌキが歩いてきました。私が立っていることは些細なことらしく、全く気にする様子もなく通り過ぎていきました。 職場の近くでこうした出…
No.388 出会ったでチュー
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森洋佑 年度の初めに尾瀬に入ることが年中行事のようになってきています。今年も尾瀬に行ってきました。尾瀬では美しい景色が見られる反面、重い荷物を背負ってアップダウンの山道を歩く大変さもあります。 今回も荷物を持ちながら沼山峠まで登って一休み。そうしたら脇の草むらがカサコソ動くのに気づきました。ずっと凝視していたら、小さなチューが一匹。 かわいくてしばし見とれていました。 写真1 遠目にはチューがいることは分からない。 写真2 拡大すると、確かにいる。
No.387 君は誰だ?
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海田明裕 車で走っていると運転していたひとが 「クマかサルがわからないものがいた‼」 と、突然言うのでわざわざUターンしてもらって見に戻った。 いた! 確かに概ねサル的だけれど耳はクマ的。しっぽも長いのでニホンザルではない。 毛並みは長そうでどちらかといえばクマ的な?(写真だと伝わりにくい微妙なラインです) たしかに咄嗟にはわからない様相。 記憶の中で作られたサルなのかなという感じでしたが、きっとこういう多分実物をしっかり見たことがない人がなんとなく作った像と…
No.386 何にもなくったって
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岸本真弓 何にもなくったってここはタヌキのタメ糞場だったのだと思う。 こんなに草や実生が繁茂しているなんて不自然だ。不自然が自然だ!
No.385 私の弁当備忘録 ~嬉しい心遣い~
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ペンネーム ぺんぎん 山深い地域の調査をする時に、コンビニから離れている山間部にある民宿に泊まると、手作り弁当を作ってくれる。(ありがとうございます!) リュックの中で汁が漏れないように、新聞紙で綺麗に包んでくれる。 その新聞を読みながら、お弁当を山奥でひっそりと食べるのが楽しい。 汗かいた後に嬉しい塩気のあるお弁当。 ピーマンと牛肉の炒め物がとても美味しかった。 ただ、去年の秋はあまりそういう所に泊まれなくて少し物足りなかったり……