研究員によるフォトブログ

N0.68 容疑者確保

2009年05月07日

加藤 洋  ニホンザルの個体数調査。相手は野生動物、カウントチャンスはいつ来るか分らない。時には寒い野外でひたすら時を待つことがある。完璧な防寒対策、双眼鏡、無線機・・・我々フィールドワーカーにとっては至って自然な格好であり、装備にはプロとしてのこだわりさえ持っている。ただ、町の中では単に怪しい人である。こうして、研究員S氏はあえなく御用となったのでした(もちろん簡単な職務質問で済み、この後速やかに解放されました)。 我々を見かけたときは、近くに何らかの野生動物がいる可能性が高いので、そちらのほうを警戒して頂けたら…

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No.67 シカ角いろいろ

2009年04月27日

横山 典子 一番左の頭骨付は、ヤクシカ。これはK氏が屋久島旅行に行った際に猟師からいただいたもの。 その隣は、鳥取県で拾った物。その隣は福井、そのまた隣は滋賀。一番右は淡路島。 基本的に北に行くほど角は大きくなる傾向があるのだが、鳥取の角はずば抜けて大きい。これは鳥取市北部で拾ったもので、ここはシカの分布が最近拡大した地域で、餌が豊富だからか、狩猟圧が低いために大きなシカが生き延びているのか、そのあたりはよく分からない。 角の大きさは、地域差がもちろんあるが、個体差もある。大きい角があるはずの地域で小さい角を見つけ…

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No.66 凍結標本発見!?

2009年04月20日

吉田 淳久 いえ、生きています。1月の終わりに、水辺の雪原を歩いていて発見したヤマアカガエルです。繁殖期は通常2月~6月なので、繁殖のために動き出したのでしょう。しかし、埋まっています・・・。雪面に歩いた跡はなく、体の形に氷が窪んでいることからすると、かなりの時間じっとしていたようです。お腹冷やさないようにね。 20090420_zakki66.jpg

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No.65 数を数える虫を探せ!

2009年04月14日

山元 得江  シカの調査でY県の山の中を歩いていた。終わりが見えてきたので、腰を下ろして休憩することにした。水分を補給しながら、近くにある落葉を眺めていた。  すると・・・自然界では目にすることがないであろう「5」という数字が目に飛び込んできた。なぜ山の中の落葉に「5」と書いてあるのか。誰が書いたのだろうと、その落葉を拾い上げてみると、なぞが解けた。「5」という数字は虫が葉を食べながら書いたのだ。数を数えられる虫がいたら大発見だな、と思いながら1や2、3などの数字が他の落葉に書かれてないか探した。案の定、辺りに他の…

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No.64 サルの鯱

2009年04月08日

清野 紘典 12月、霜が降りた早朝、車通りの多い国道を走っていると鯱(しゃちほこ)のある家をみつけた。 遠目で丸い形をしている珍しい鯱だと思い、双眼鏡を覗くと・・・それはサルだった。 見事に屋根の両端で対面座した2頭のサル。暁の空のもと瓦に鎮座している。 こちらが近づくと鯱たちはからからと瓦を鳴らして足早に逃げ去っていった。 地元の方々にとって、この鯱たちは生活被害以外の何ものでもない。 瓦が落ちる、ベランダに糞尿が、屋根がうるさくて寝られない・・・。 町の風景に不似合いな鯱の姿は、今一度人と野生動物の関係を考える…

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No.63 冬の終わり

2009年04月02日

山田 雄作 先日、盛岡のカモシカ調査へいってきた。  といっても一ヶ月ほど前で雪がほとんど積もっていないはずだったが、ちょうど前日にヒザ上まで、場所によっては腰下までの雪が降った。  ということは当然ラッセル・・・  寒さもヒザの痛みも、写真のような動物の痕跡に出会えるだけで報われる。  写真は目当てのカモシカの足跡と糞です。 20090402_zakki63.jpg

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No.62 ミクロの戦い

2009年03月09日

湯浅 卓  調査雑記には、山で出会った動物か、きれいな景色のベストショットでも載せたいと思いつつも、かれこれ6ヶ月も室内に籠もりきりの私には、そんな写真を撮るチャンスさえ無く・・・   そこで今回は、趣向を変えて、実験室でのミクロの戦いの様子を少しお届けします。  上の写真は、2本のツキノワグマの毛の付け根部分、いわゆる毛根部分を、顕微鏡で拡大した写真です。この2本の毛は同じクマから抜けたものでしょうか?それとも2個体から抜けたものでしょうか?  この6ヶ月、私は、こうした毛からクマを識別すべくミクロの戦いをつづけ…

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No.61 あるメスジカによる観察(3)(全3回)

2008年12月05日

清野 紘典 2008年6月22日10:00:40 S県T市A演習場内 「サルコドモ2・・・イツモノムレ」 20081205_zakki61.jpg

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No.60 あるメスジカによる観察(2) (全3回)

2008年11月27日

清野 紘典 2008年6月22日10:00:34 S県T市A演習場内 「!(ドキ)・・・サルオヤコ」 20081127_zakki60.jpg

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No.59 あるメスジカによる観察(1)(全3回)

2008年10月25日

清野 紘典 2008年6月22日9:58:14 S県T市A演習場内 「!!(ドキドキ)・・・ニンゲン♂1クルマ」 20081025_zakki59.jpg

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No.58 三角点探訪<その7>剣山

2008年10月17日

岸本 真弓 徳島県那賀郡那賀町字鎗戸50番地  一等三角点「剣山」(1,954.65 m)2008年9月22日晴れ  シカの調査で徳島県の最高峰、剣山を訪れている。二度目の来訪時、頂上に登った。そこに鎮座まします一等三角点「剣山」があった(写真1)。こんなにりっぱに奉られた三角点を見たのは初めてだ。  一等三角点「剣山」には歴史がある。昭和の時代、剣山を愛し、剣山の良さを伝えたいという人たちのご尽力によって、登山客が増えた。その結果、頂上付近を覆い尽くしていたササ原が裸地化して、土砂が流出するようになった。1972…

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No.57 ぶらさがり健康グマ

2008年10月09日

清野 紘典  この写真、クマが伸びきっていますが、よくみると地面から数十cmほど足が浮いています。イノシシ捕獲用の檻に誤って捕獲されたクマを檻から放つために麻酔銃で眠らせたときの一場面です。2m×15m×15mmの大きなイノシシ用の檻でした。  麻酔投薬後、ひとしきり檻の中で暴れたクマはフェンスにへばり付いたまま眠ってしまいました。麻酔は完全に効いていましたが、クマの犬歯はしっかりとフェンスを噛み、結果、クマは落下せずにまるでぶらさがり健康機に掴まるような状態で眠ってしまいました。自分の全体重を支えることができるク…

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No.56 H2Oシステム

2008年10月01日

岸本 真弓  エコ、セコ、ケンコーのため、電車&徒歩通勤を始めて2ヶ月になる。35分のウォーキングに物足りなさを感じ、重りを持つようになって1ヶ月半。ザックの底で重りは徐々に重量を増し、現在では4.5kgだ。私の体よりもザックの方が悲鳴をあげそう。  このザック、数年前の誕生日にもらったものだ。調査用のザックにはない、H2Oシステムなるものがある(写真1)。どうやら特に自転車乗りの人に愛用されているザックらしく、チューブ式の水筒を収納しておき、ザックから出すことなく水を飲めるのが特徴。  先日、以前調査で発信器を装…

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No.55 三角点探訪<その6>きりこを探して

2008年08月15日

岸本 真弓 京都府相楽郡南山城村大字高尾字奥山10番地  三等三角点「相楽」(275.02m)2008年8月7日晴れ  京都府の事業で電波発信器を装着したメスザル愛称「きりこ」の消息がつかめなくなって1ヶ月半がすぎていた。交代で定期的に捜索に行くが、ひとりで探し回るには限界がある。そこでこの日3人を投入して、大捜索を試みた。まだ一度も車で進入したことのない行く先の知れぬ細い道、まさかと思う遠い場所、手分けして徹底的に探すのだ。  高山ダム湖岸府道をきょろきょろしながら車を走らせていると、「←三角点」と書かれた小さな…

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No.54 仕事の道具(その4)~里山の花火~

2008年08月04日

片山 敦司  夜空に広がる打上花火は、夏の風物詩である。一方、爆竹は中国の春節祭(旧正月)を音と火花で彩る初春の風物詩だ。そうした季節感とは少しかけ離れたところで我々も花火を使用する。クマの学習放獣に使う爆竹、サルの追い払いに使うロケット花火など、花火は音響による非殺的被害対策のツールとしても使用頻度の高いものである。花火の発する音響による追い払い効果は短期的には確かにある。しかし、長期的にはどの程度の効果があるものかは定かではない。  春節の爆竹の由来がWeb上で紹介されている。漢代の中国の書『神異経』・『西荒経…

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No.53 これなに 最終回 (全3回)

2008年06月25日

岸本 真弓 山で見つけたプレッツェル。 「まるで!」というものを見つけた時のおかしいこと,楽しいことって。あはは。 こたえ:みみず 20080625_zakki533.jpg

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No.53 これなに No.2 (全3回)

2008年06月24日

岸本 真弓 山で見つけた粒マスタード これって何でしょう? こたえ:さるの糞 20080624_zakki532.jpg

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No.53 これなに No.1 (全3回)

2008年06月23日

岸本 真弓 山で見つけた小豆抹茶アイス これって何でしょう? こたえ:たぬきの糞 20080623_zakki531.jpg

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No.52 仕事の道具(その3)~ネットの仕事~

2008年06月13日

片山 敦司  高度情報化社会に生きる私たちは、「ネット」と言うと、インターネットを思い浮かべてしまう。でも、ふた昔(20年以上)前は「ネット=網」だった。  小学生の頃に主にお世話になったネットは捕虫網である。その時に持ち歩いていた網の輪は口径30~40cmほど。獲物はセミやトンボなどの小物であった。中学生の頃には釣少年となり、釣行時には折りたたみ式の玉網(直径45cm)を持ち歩いていた。ゴボウ抜きで釣り上げられないような大物が掛った時のための用心なのだが、心配したような大物が釣れたためしはなかった。  野生の哺乳…

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No.51 小さなダニを顕微鏡でのぞく

2008年05月30日

本多 響子 T県の調査にて、藪こぎをした後に自分の体にくっついていた小さなダニを10数匹集めて持って帰りました。 大学在学中に寄生虫の研究室にいたので、ダニを見つけると血が騒ぎます。 久しぶりのダニの発見に心が躍り、せっかくなので、持ち帰ってダニの封入の練習をしました。 お湯の中で足を伸ばさせ(←本当はエタノールです)、スライドガラスに封入剤を垂らし、その上にダニを足が縮まらないように乗せる。カバーガラスをかけて、内臓に入っている空気を抜いて、空気が残らないように。空気が残らないように。でも残る。 これがなかなか難…

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