研究員によるフォトブログ

NO.121 柵によるシカの惨死

2010年08月18日

姜 兆文  ニホンジカ(以下はシカとする)の白骨(頭が柵に絡まって死亡、写真1)、別のシカの白骨(角が柵に絡まって死亡、写真2)、最後にシカの死体(角が柵に絡まって死亡、皮はまだ新鮮で、肉の殆どは食べられていた、写真3)。これは私がシカの調査をするため、ある日、山に設置された柵沿いに歩いた時撮影した「シカ」の写真である。皆さんはこの写真を見たら何を考えるでしょうか。私は悲惨な世界だと思った。柵内植林の樹齢により、その柵は20年前に植林した時、幼樹を保護するため設置され、現在まったく防護機能がなくなったと思われる。 …

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NO.120 何かご用?

2010年08月16日

岸本 真弓  夕方、車道の脇でうつむいて熱心に落ち葉をかいているアナグマを見つけた。車を近づけると、アナグマはあっと言う間に地面に消えた。消えたあたりを歩きまわると穴があった。  この中に入ったに違いない。のぞき込んだり、ライトを照らしたりしてみると、主が顔をだした。 「何かご用?」というふうに。 20100816_nanikagoyoujpg.jpg

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NO.119 シシガミ様の御力か。

2010年08月11日

横山 典子  とある調査地に出かけたときのこと。  びっくりした。軽トラが森に帰ろうとしている。  日本は、温暖で湿潤な気候のおかげで、土壌中の微生物の活動もほどよく活発で、土壌が発達し、例え伐採をしてしまっても土壌に養分が蓄えられているため、すぐに草が生え、少しずつ木が生え、森になるスピードが速い。  一方で、生物多様性が最も高い熱帯雨林(正式には熱帯多雨林)は、意外にも土壌の発達が良くない。熱帯雨林は、分解者も非常に多く、また気温も高いので分解速度が非常に速く、落葉や腐植の層がほとんどない。また、養分は土壌に蓄…

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NO.118 宴のあと・・・

2010年08月09日

川村 輝  9月末、集落を抜けた峠道。サルの発信機の入力を追って車を走らせていると道路一面に植物の破片が広がっていた。 車を降りてみてみるとヌルデの虫えいが道路一面にバラバラと散らばっている。 残念ながら周辺にサルの姿は無く去った後のようだった。 ヌルデの虫えい※1は大きな金平糖のような形をしていて割ると中は空洞だ。ヌルデシロアブラムシによる虫えいでタンニンが含まれている。加熱乾燥させたものは五倍子(ごばいし)、付子(ふし)と呼ばれ薬用、染色に使われる。染めものでは空五倍子色(うつふしいろ)とよばれる灰色の染料とな…

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NO.117 燕岳-出会い-

2010年08月06日

山田 雄作  以前の調査雑記で燕岳の写真を紹介しました。今回は燕岳で遭遇した動物を紹介します。  感動的な出会いは目当てでもあったライチョウです。ライチョウは特別天然記念物として有名で、高山に行ったからといって簡単に出会える鳥ではありません。その生息地は高山帯に限られており、生息環境の変化や感染症などによる個体数の減少が懸念されています。この鳥は、苦労して高山へ登っている人達のマナーのおかげで(追い掛け回したりしないため)比較的近くで遭遇しても追い回したり近づき過ぎなければあまり逃げません。その生息数は減少傾向にあ…

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NO.116 無防備な動物

2010年08月04日

加藤 洋  ある日の野外調査中、路肩に変な生き物がいるのに気が付いた。アナグマだ。歩道でのんびり日向ぼっこしている。真横に立っても、毛繕いに夢中。・・・こちらに気付いていない。調子にのって頭をツンツンすると、流石に怒ってしまいました。ごめんなさい。 20100804_2010.8.4.jpg

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NO.115 棒を持ち歩くシカ!

2010年08月02日

姜 兆文  これは赤外線センサー付自動撮影カメラで撮影された、棒を持ち歩き、振り回すオスジカの写真です。カメラを11月に設置し、撤収した1月まで、写り撮り続けたのです。おそらく、角が自然に脱落する5月までそのままでいるのではないでしょうか。皆さんはこの写真を見たら何を考えるでしょうか。格好良い?かわいそう?苦しい?……。私は悲しいと思った。おそらく、シカの角に絡まったのは、各地に設置したシカの防除柵に使われた物の一部と考えられる。幸いこのシカは柵から切り離されて、脱出できたが、出来ない場合は、餓死しかないと思う。例…

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NO.114 気になるう~っ

2010年07月30日

岸本 真弓  4月、京都で恒例のシカ糞塊密度調査を行った。10年以上続く調査。慣れた道だが毎年新鮮な思いで歩く山。  しかし、今年は気が散る。気になる、気になるのだ。リョウブの皮剥が、ヤブツバキの角研ぎが、イヌツゲの矮性化が、ツツジの枯死が・・・ いや、もちろん去年までだってわかっていた。だが、今年3月四国でシカの植生への影響を調査するためにそればかりに注目してからまだ1ヶ月もたっていない。その目が抜けない。  しかし、今は糞の調査。集中、集中、糞にしゅーちゅーっ! 20100730_kininaru.jpg

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NO.113 天上のサル

2010年07月26日

横山 典子 ダケカンバとハイマツ群生する標高2700mの亜高山帯でサルに会った(写真中央より少し右の岩の上にいます)。 ハイマツの実を食べに来たようだ。 周辺からステレオのようにポリポリ食べる音がする。 いつも見る下界のサルよりも少しだけたくましい気がした。 20100726_tennjounosaru.jpg

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NO.112 モズのはやにえ

2010年07月23日

川村 輝   11月末、サルの捕獲で群れが近づくのを待っていたらモズが何やらくわえてやって来た。  もしかして…とはやる気持ちを抑えて息をひそめて待っていると近くの小枝に止まってキョロキョロ。どこにしようか思案している様子(お?やるか?やるか?)。  その瞬間は一瞬だった。なんのためらいもなくサクッと小枝に刺して飛び去って行った。 図鑑ではいろんなバージョンが紹介されているが刺す瞬間を見たのは始めてだった。  モズが去ってから写真を撮りに近づくと、あぁ…哀れ、獲物のバッタはまだ息があるようで動いていた。 忘れずにち…

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NO.111 燕岳

2010年07月20日

山田 雄作  燕岳は長野県に位置する、標高2,763mの山です。  登山口の中房温泉(標高1462m)から燕岳山頂までは約1300mの標高差がありますが、地元の中学生たちは学校登山で登るそうです。 ゆっくりと登り約4時間半ほどで山頂付近にある燕山荘へ到着、梅雨時期で前日までは降水確率70%でしたが、朝から天候に恵まれました。  燕岳は花崗岩からなり、花崗岩の白さが晴天の青とハイマツの緑ととてもきれいな景色を見せてくれました。 20100720_tubakuro.jpg

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NO.110 倒木だらけ

2010年07月16日

姜 兆文  倒木、倒木!また倒木!!今年は倒木だらけだ。奥多摩地域のニホンジカ(以下シカとする)を調査するため、2005年から6年間連続で毎年11月末と5月上旬に2回、登った。今年、特に沢沿いの斜面は写真で示したように倒木が多く、山の状況が急変していることに驚いた。もちろんいままでも心配はしていた。  昨年の冬期には特に異常気象も発生していないのに、なぜ倒木が多数発生したのだろうか。やはり、これはシカの個体数の増加に伴い、シカが下層植生を採食することにより森林生態系に対して悪影響を及ぼしていることと深い関わりのある…

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NO.109 湿度100%

2010年07月12日

岸本 真弓  シカとシカによる植物の影響を調査するため大台ヶ原に通うようになった、6月のある日のこと。霧に覆われた尾根を登り、日出が岳を目指す。頂上間近で霧が晴れ、振り返ると雲の壁があった。北側斜面を昇ってきた雲が尾根を舐めるではなく、そのままの勢いで真上に数十メートル伸び上がっている(写真1)。大台ヶ原は日本で有数の多雨地域。四方からの湿った空気を吸っている。  その4日後大台ヶ原から東に下った海岸近くの山裾に、シカに装着したGPSテレメを脱落させに出かけた。無事脱落に成功し、発見したGPSテレメの遠景の写真を撮…

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NO.108 山の恵み

2010年07月05日

横山 典子 テントと食料を抱えて2泊3日で植生調査をするという少々きつい仕事だった。 足も思うように前に進まず、気力だけで前に進む。 のどは渇いていたが、食事で使うことを考えると好きなだけ水を飲むというわけにもいかない。 調査を一箇所終える度に、お風呂と気持ちいいお布団に近づくのだ、と言い聞かせながら、我慢して一歩一歩前進する。 何とかその日最後の調査地に着いた時、道の脇に光り輝く緑色したものを見つけた。 サルナシだ! しかも、大豊作! がんばったご褒美かもしれない! いやぁ~生き返りました。 ありがとう、山の恵み…

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NO.107 アライグマのツリーハウス

2010年07月02日

岡野 美佐夫  発信機をつけた2頭のアライグマがかわるがわる使っていたスダジイの大木(写真1)。ここにあるはずの樹洞をつき止めようと、同僚二人と梯子を担ぎ、捜索に行きました。  太い枝が折れたあと、腐食が幹の中まで進んで洞ができあがったようでした(写真2)。地上高3.5mにあり、洞の入り口は直径20cm、奥行きは63cmで、1頭が休むには十分な大きさなのでしょう。  そこに向けて自動撮影カメラを設置すると・・・、数日後に見事アライグマが撮影されました(写真3)! 20100702_araiguma.jpg

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NO.106 サルとシカ合戦(桑の実編)

2010年06月30日

佐伯 真美  神奈川県の丹沢地域でサルを観察中に奇妙な光景を見た。サルは桑の樹上で桑の実を美味しそうに食べていた。ふと木の下を見るとシカ5頭が地面の何かを必死で食べている。  あたりはかなり広いのにシカは所狭しと桑の木の下に集まっていた。時折、喧嘩をしながら食べている。  こ・・これはまさか!?サルが落とした桑の実を食べていたのではないだろうか!?屋久島ではサルが落としたおこぼれをシカが食べるという話を聞いたことがあるが、まさか丹沢でも!?もちろんサルはシカのために落としてあげているのではなく食べる際にボロボロ食い…

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NO.105 美しき隣人

2010年06月25日

川村 輝  4月末、調査で訪れたO町で調査終了後少し時間があったのでコウモリの生息場所に立ち寄ってみた。 そこはコンクリートで囲まれたトーチカ*1となっており夏場繁殖に使われることが多い。覗いてみると羽音とともに数頭がトーチカから飛び出してきた。  中には20~50頭ほどのキクガシラコウモリがいた。昼間だというのにほとんどの個体が覚醒して可聴音で鳴いている。気候が暖かく出産が近いのだろうか。トーチカに集まるのには少し早い気がする。  街中で見かけるアブラコウモリのようなヒナコウモリ科は後肢と前腕の爪で壁にしがみつく…

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NO.104 野生動物を集めないで

2010年06月23日

岸本 真弓  写真は観光名所のタヌキである。観光客か、あるいは観光客目当ての店員かが、イノシシやタヌキに餌を与えていた。  自然では集まることのない野生動物が餌付けによって集まってしまう。今も日本のどこかで流行しているタヌキの疥癬も、不自然に集められたタヌキ間でまたたくまに拡がってしまう。感染力の強いウイルス病などがひとたび発生すれば、集められた野生動物はひとたまりもないだろう。  餌付けは、野生動物の行動をゆがめ、健康を損ねるだけでなく、地域個体群の絶滅さえも引き起こす危険な行為なのだ。 20100623_edu…

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NO.103 ロードキル

2010年06月21日

加藤 洋  サルが道路を渡る。カウントチャンス(個体数調査)の瞬間である。サルも道を渡るのに命がけだ。この日はF県を走る国道を渡った。朝8時、通勤ラッシュ真っ直中である。次々に道路に飛び出すサルたち。  まだ道路を渡ることに慣れていないのだろうか、案の定、コザルが車と接触してしまった。このコドモは後続車に再び跳ね飛ばされながらも、何とか立ち上がって走り去った。鼻血を流していたこともあり、このコドモのその後の安否は不明であるが、頭部を車に強打したのを目撃したため「即死かな・・・」と見込んでいた私はその生命力に少々驚い…

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NO.102 見返り美人

2010年06月17日

山元 得江  黒い大きなお尻の持ち主は誰でしょう?(写真1)  放獣を待ちわびるメスのツキノワグマでした(写真2)。 犬座りならぬクマ座り姿勢で、「お尻ばっかり撮らないで顔も撮ってよ!」と言わんばかりに振り返ってます。右耳には、ダニというイヤリングをつけて(写真2の矢印)。 20100617_ajpg.jpg

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