研究員によるフォトブログ

No.76 クマなのに鯨飲馬食これいかに?

2009年07月29日

片山 敦司
 飲食の量がはなはだ多いことを「鯨飲馬食」と言います。クジラやウマが本当に暴飲暴食をしているのかどうかは別にして、大きな動物が飲食をする様子は迫力がありますよね。
さて、我らがクマ。我々はクマが大量に水を飲む場面によく立会います。
写真はククリワナに錯誤捕獲された後、わなから解放され、移動用檻の中で放獣を待っているクマです。この個体のように夏場に錯誤捕獲されたクマは水を与えると良く飲みます。(写真は、ドラム缶檻の小さな穴からペットボトルに入れた水を流し込んでいる様子です)
何となくのどかな光景にも見えますが、錯誤捕獲を経験したクマにとっては、命の水。わなから逃げようと七転八倒・大暴れの末、ようやくありついた水は身体の危機を救います。
一般的に動物は激しい運動をすると体温が上がります。特に夏場の高体温は危険。上がりすぎた体温は速やかに下げないと命に関わります。体温を下げるため、動物の体からは水が大量に失われます。クマは汗腺が発達していないのでパンティング(あえぎ呼吸)により、呼吸器から水分を蒸発させ、体温を下げようとします。失われた水分はしっかりと補給し、通風を良くして体温管理をしなければ熱中症を引き起こす危険があります。
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普段のクマの飲食はゆったりしていると思いますが、この時ばかりはまさに「鯨飲」。長い舌を巧みに使ってゴクゴクと音を立てて飲む様子に、「もっと飲め」とビール瓶を片手に持った新歓コンパ会場の先輩の気分になります※。
※注:与える水分はミネラルや糖分を適度に含むものが望ましい。もちろんクマと未成年者にはビールを飲ませてはならない。

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